キリンが描くEC戦略を徹底解剖 「DRINX」にマーケティングオートメーションを導入した狙いとは

キリンが手がけるECサイト「キリン オンラインショップ DRINX(以下DRINX)」は、2016年初頭にマーケティングオートメーションを導入し、顧客との新たな関係構築に着手し始めた。これまで同社が抱えていた課題を、どのように解決へと導いていこうとしているのか。DRINXの丹羽靖彦氏と、今回キリンが導入したマーケティングオートメーションプラットフォーム「b→dash」を提供するフロムスクラッチの武田卓哉氏に話を聞いた。

マスの限界を越えるキリンの新たなチャレンジ

――丹羽さんは2014年4月の「DRINX」立ち上げ時から事業運営者として関わっていらっしゃるそうですね。サイトを立ち上げた背景から教えていただけますでしょうか。

DRINX 丹羽 靖彦 氏

丹羽:

顧客の変化を受けて、マス・マーケティングとは別の可能性が探ることができないかというのが、「DRINX」を立ち上げた背景にあります。我々メーカーは、お客様との間に小売・流通というお得意様がいることもあり、実際に商品を手にとる消費者から直に声を聞くことは、なかなかできませんでした。そこで、DRINXを通じて、お客様から意見をもらい、一緒に商品を作って進化させていける場が欲しいと考えたのです。

また他にも、既製品とは違うお客様の嗜好に合わせた手づくり感がある商品をご提供することで、企業と顧客との関係性を1対1で長期的に築きながら、ECとして収益を上げていきたいという狙いもあります。

――今回、マーケティングオートメーションを導入しようと思った「きっかけ」を教えていただけますか?丹羽:

これまでは、広告で集客をして、会員登録いただいた顧客をDBに取り込んで、メールなどで、アップセルしていくという、いわゆるオーソドックスなCRMの手法をとっていました。しかし、そのやり方では、集客から購入までの購入導線のデータ結合ができず、プロセスの確認が断続的になってしまうという課題が常にありました。また、関係者間でデータを受け渡すやり取りを無くし、セキュリティを高めることで情報漏えいのリスクを軽減したいという狙いもありましたね。

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