【前回の記事】「ユーザーの顔が見える関係づくりが「広告」を超える(Sony「Xperia」)」はこちら
今回のゲスト
植田恭輔(うえだ きょうすけ)
スカパーJSAT 有料多チャンネル事業部門 放送事業本部 放送営業部 企画プロデュースチーム アシスタントマネージャー
テレビ制作会社勤務を経て、2005年入社。映画ジャンルを中心に、様々な専門チャンネルと協業し、コンテンツの制作・調達からPRまでを一気通関でプロデュースする業務を主に行う。これまでに「スカパー!ジョニー・デップ祭り」(2007)、「スカパー!映画部 各種企画」(2010~)「BSスカパー!特番 映画人シリーズ」(2013・2015)、「スカパー!×TOKYO FM 日本全国・シネマテーク プロジェクト」(2015~)などをプロデュース。
なぜファンとのリレーションを強化したのか?
藤崎:アンバサダープログラムの開始に先立ち、2010年から「スカパー!映画部」という活動を始めていますね。映画部を発足した理由から教えてください。
植田:ご存知の通りスカパー!は多チャンネル、多ジャンルの有料映像プラットフォームです。スポーツや音楽、ドラマなど多くのジャンルがありますが、その中でも映画は最も視聴意向者数の多い人気ジャンルとなっています。しかし、競合サービスも多く、どうやってスカパー!映画ジャンルのブランド価値を高めていくかが課題でした。
藤崎:確かに映画というジャンルは、レンタルビデオに始まり、宅配サービス、Web配信など、多くの会社で競ってきましたよね。
植田:だからこそ、我々の強みをアピールする旗印を持つ必要がありました。そこで「スカパー!映画部」という屋号のもとに活動を行い、長い年月をかけてでも、さまざまな取り組みの結果がネット上に蓄積していくことを目指しました。
藤崎:当時、実施していたことを教えてください。
植田:2010年の発足時に、2つのことを始めました。1つは、情報番組の製作。もう1つは「スカパー!映画部」というTwitterアカウントの開設です。当時は、テレビCMもオンエアしていましたね。
藤崎:その情報番組は、加入者しか見ることができないものだったのですか?
植田:誰でも無料で見られる番組です。スカパー!のプロモーション用のチャンネルがあり、「スカパー!映画部 ホメシネ」という番組でした。これから放送される映画の宣伝番組なのですが「部員のお薦め」という体裁をとり、情報発信の仕方がブランディングにつながるように意識しました。
Twitterでは「部員のお薦め作品」や、国内映画祭の「現地レポート」なども発信していきました。リアルタイム性も意識し、当時としては新しい取り組みだったと思います。
そうした初期の活動が一巡した2014年に、今後の方向性について考える機会があり、辿りついたのがアンバサダープログラムでした。つまり、それまでは私たちスカパー!からの一方的な情報発信ばかりでしたが、ユーザー目線でのサービスへの評価に価値がある、と改めて気付いたのです。また、競合他社がまだどこもユーザー参加型の取り組みを行っていなかったということもあります。
藤崎:なるほど。まずは2010年からの情報発信があり、その次のステージに向かう際に、ユーザーとのリレーションの必要性を感じたというわけですね。
植田:ブランディングは広告投下量に比例する体力勝負だと考えていました。ただ一方で、アンバサダープログラムは比較的安価に取り組め、かつブランディングにも活かせることを知り、これは「スカパー!映画部」に使えると感じました。
藤崎:アンバサダープログラムの導入にあたっての社内の反応を教えてください。
植田:スタート時に一番言われたことは、「お客様と直接関わる以上、簡単にはやめられない」でした。「簡単にやめるつもりはありません、やらせてください!」と言って、最後はOKをもらいました。
植田:アンバサダープログラムには、「ファンとのリレーション」と「クチコミの活用」の2つの利点がありますが、特に、映画ファンのクチコミを活用できる点に可能性を感じました。
藤崎:確かに、映画におけるクチコミの力は大きいですよね。
植田:はい、映画チャンネル部員がお勧めする映画を載せるコーナーが、一番よく見られるページでした。映画には、確実にクチコミが効くのだなと思いました。個人的にも新作を見る時には、クチコミを参考にしますしね。
藤崎:海外のクチコミ研究の論文では映画が多く取り上げられています。クチコミが大きく影響を及ぼす代表が映画かも知れませんね。
植田:映画は1本2時間という、それなりに長い時間を使うわけですから、評判を参考にしますよね。
藤崎:現在のアンバサダープログラムの内容を教えてください。
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