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コピーライターは社員の行動のスイッチを押す「相談役」である

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企業の経営理念に基づく広報活動には、「伝える」力が求められます。コピーライターが語る、企業ブランドを強くする言葉の役割とは。

ライトパブリシティ
国井美果(くにい・みか)氏

東京都生まれ。立教大学卒業後、ライトパブリシティに入社。コピーライター、クリエイティブディレクターとして、コミュニケーションの視点からさまざまな企業活動に関わる。主な仕事に、資生堂「一瞬も一生も美しく」、資生堂マキアージュ「レディにしあがれ」、伊藤忠商事「ひとりの商人、無数の使命」など多数。ADC賞、TCC賞、日経広告賞大賞、読売広告賞準グランプリなど受賞多数。

 

企業の「転機」が出発点になる

資生堂「一瞬も一生も美しく」

──国井さんは資生堂「一瞬も一生も美しく」、伊藤忠商事「ひとりの商人、無数の使命」など、企業広告のコピーを多数手がけていらっしゃいます。

依頼をいただくのは、企業が何らかのシフトチェンジをしたいタイミングが多いです。例えば伊藤忠商事の場合は、2010年に就任した岡藤正広社長のもとでBtoBだけでなくtoCにフォーカスしたコミュニケーションを目指したのが始まりです。顔の見えにくい総合商社の存在価値を広く世の中に示し、これまで以上に社会に貢献したり、優れた人材を集めたりできる企業になることが狙いでした。

時代が変わり、世の中の価値観が変わる中で、自分たちはどのように生き残っていけばよいのか。いま、多くの企業が模索しているのではと思います。従来の経営のスタイルを見直し、新しく強い価値軸を見つけ、理念に落とし込む。それを、社内の隅々まで行き渡らせて社員の意識を変えるために、スローガンや理念という「言葉」が求められているのです。

私たちコピーライターが考えるのは、掛け軸のように床の間に飾られるような言葉ではありません。一人ひとりの社員が、それぞれの現場でどう動くべきか判断を迫られたとき、「こっちだ」と進むべき方向へ迷わず導いてくれる。そういう”スイッチ”として機能する言葉でなければ、と心がけています。

 

次ページ 「社員の気持ちと同化できるか」へ続く