「AI時代のコピーライターは、どうなる?」その問いを必死に考えてみた。

これまで4回に渡って連載した「未経験からコピーライターになるためのコラム」もついに最終回。今回は「これからのコピーライター」について、そして、書籍『これから、絶対、コピーライター』(宣伝会議)の連動企画「ツボ伝ツイート」の優秀賞も発表します。
kurosawa

黒澤晃

横浜生まれ。東京大学卒業。1978年、広告会社・博報堂に入社。
コピーライター、コピーディレクターを経て、クリエイティブディレクターになり、数々のブランディング広告を実施。日経広告賞など、受賞多数。2003年から、クリエイティブマネージメントを手がけ、博報堂クリエイターの採用・発掘・育成を行う。
2013年退社。黒澤事務所を設立。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。

 

2025年の広告業界を想像してみた

「コピーライターは、これからなくなるんですよ、ね?」。

最近、某企業の女性社長にそう言われた。質問ではなくて、同意を求めるニュアンスで。そろそろ、だと思った。僕らはちゃんと考えないといけない。人工知能(AI)が日常になる時代に、広告業界は、どうなっていくのか。ひょっとして、なくなる職種もある?

 

たかだか10年、いやそれより早く来るかもしれない。その革新の未来に備えて。革新は破壊を伴うという法則もふまえたうえで。なにか、準備をしなくていいのだろうか。

本やサイトをあれこれ覗きながら、脳を働かせ、自分なりに未来を予想してみた。そして、その10年後の未来を物語にして書いてみた。自著「これから、絶対、コピーライター」に登場させた、未来世界の住人、山下優太とさおり、にふたたび登場してもらった。時は、2025年。

東京は雨が降っている。タワーマンションの36階から見下ろす街は霞み、濡れて黒ずんだ道路に、色とりどりのドライバーレスカーが行き交っている。とても静かだ。室温、湿度、照度、消費エネルギーのすべてをビル自体が認知し、適正な状態をつくりあげている。

さおりは、明るい窓側のテーブルで、ロイヤルユーザー向けのDMを書いていた。すべて手書きで、ブルーのインクの万年筆で丁寧に思いを刻印するように書いてゆく。その数70人ほど。ぜんぶ書き終え、発送するまでにほぼ1週間かかる。

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