ポイント
- ・「お客様とともに」というブランドの姿勢を、デジタルチャネル上でも体現している。
- ・EC サイトが、あらゆる顧客チャネルで訴求するブランドイメージの基準となっている。
- EC サイトを統括する社員が、ブランディングを具現化する役割も担っている。
河野貴伸氏
フラクタ 代表取締役
企業のブランディングを推進するサービス・テクノロジーを提供するフラクタを2013年に設立。EC-CUBEエバンジェリスト。
佐野隆純氏
ツインバード工業 営業企画本部 営業企画部
2011年入社。入社後4年間は商品開発部でプロダクトデザインを担当。その後、営業企画本部に配属になり、EC担当チームの一員としてホームページの管理、カタログやリーフレットなど販促物の制作、社内イベントの企画運営など幅広く担当している。
ブランディングと商品販売 どちらも担うECの確立を目指す
1951年、新潟県三条市でメッキ加工の下請け工場として創業したツインバード工業(以下、ツインバード)。
家電メーカーへと事業転換してからは、消費者の「あったらいいな」を解決するユニークな家電製品を開発・製造し続け、その商品ラインアップは約600種にのぼる。
繊細な身体にもストレスを感じさせない思いやりのある風を追求した扇風機「コアンダエア」、ブランパン対応ホームベーカリー「Take bran! ブランパンメーカー」、飲むお酢を簡単につくれる「フルーツビネガーメーカー」……このように、やや“ニッチ”なニーズに応える商品を多数取り揃えている。
そんな同社がブランディングを強化し始めたのは2014年のこと。3代目社長の野水重明氏が、この年を「ブランディング元年」と位置づけ、ブランドプロミス「一緒に、つくる。お客様と。」を掲げた。培ってきた技術力を生かし、お客さまのニーズに応える商品を次々と形にできる-同社の強みを明確に打ち出し、差別化を図ろうと考えてのことだった。ブランディングの中心に据えたのは、同年に開設したECサイトだ。ブランドの魅力を伝える場と、商品を販売する場の一元化を目指している。
「コーポレートサイトをECサイトにリニューアルしたい」–ツインバードとフラクタのパートナーシップは、この相談から始まった。EC運用の技術サポートからスタートしたものの、問題は継続的に運用する社内人材の不足だった。ツインバードは、技術開発、製品開発・製造に関わる社員の割合が圧倒的に高く、デジタル領域の専門性を持つ社員はほとんどいなかった。
そんな中、EC担当に抜擢されたのが営業企画部の佐野隆純氏だった。例に漏れず、佐野氏もデジタル領域の経験はなかったため、半年ほどフラクタに出向し、EC運用やデジタルマーケティングの基本知識のレクチャーを受けた。フラクタ代表取締役の河野貴伸氏は、
「基本的な知識も重要ですが、出向期間中は、ブランドの強みや魅力がどこにあるのか明確にし、強く自覚してもらうことを重視しました。
歴史のある企業ほど、自分たちの魅力を『そんなの当たり前』と見逃してしまうことが多い。我々から見てツインバードがいかに魅力的な企業であるかを、意識的にお伝えしました」と話す。
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