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「受注者と発注者の序列」をひっくり返したYouTube
前回お知らせしたとおり、今回以降はダンサー・パフォーマーがどのようにクリエイティブの世界で活躍していけばいいのか、というお話を中心にしていこうと思っています。
ダンサーは広告クリエイティブのワークフローの中ではどうしても下流に位置せざるを得ませんでした。その状況を覆しつつあるのが、YouTubeなどの動画メディア。ダンサー的視点で、それぞれの変遷と意義について書いてみたいと思います。
そもそも広告クリエイティブの場合、PVなどではアーティストが映像ディレクターを決め、映像ディレクターが考えた映像演出に基づいて振付師とダンサーを選びます。そして、アーティスト側の承認を得る。(アーティストが直接選ぶこともありますね)
CMでもほぼ同様です。
「出演してくれませんか」と言われるだけで、「出演してあげましょうか?」と言えるケースはほぼ無いでしょう…。
この受注者と発注者の序列が明確な限り、ダンサーは永遠にクリエイティブワークにおいてイニシアティブを握ることができません。
この状況を激変させたのがユーチューバーの登場です。
YouTubeの動画による広告収入だけで生計を立てる人々が現れ、テレビなどの既存メディアに登場することもなく、今まで有名になることがなかったジャンルからも、スターが次々に生まれました。
ダンサーも、そのジャンルの一つ。ダンサーが単体でテレビに出るのはなかなか難しいことでしたし、さらに「テレビ向き」にコミカルにしたり、分かりやすくしたりする必要もありました。
また、かつてテレビはエンターテイメント業界で絶対的な地位を誇っていたので、私が所属するDAZZLEも「明日までにダンスを作ってくれたら、番組で使えるかもしれません。ただ、ギャラは出しません」と依頼されたこともあります。
恐ろしい時代でしたね…!
YouTubeの普及により、ダンサーは自分のダンスを簡単に世界に発信でき、それにより直接ファンを獲得することができる時代になりました。
自分は映像業界の人間でもありますので当初は、「ちゃんとした演出意図のもと、ちゃんとした機材で撮影し、ちゃんと編集しなくていいのか」と思っていたこともありましたが、人が「見る」「見ない」を決めるときにクオリティはそこまでクリティカルな要素ではない、というのが証明されてしまった10年間だったように思います。
一般向けのカメラ(携帯のカメラも含む)のクオリティが上がって、プロ機との差がなくなってきたことも大きいですね。
YouTubeから生まれたダンスアーティストの代表格である、菅原小春さんはテレビのバラエティ番組などにほとんど出演しないまま、資生堂のモデルにまで到達しました。
また、私もたびたび共演させて頂いた東京ゲゲゲイさんは自主音源での映像制作で大いに話題になり、
DREAMS COME TRUEさんの楽曲でご自分たちの映像制作を行ったりもしています。
YouTubeがアーティストサイドから見て画期的だったのは、PV数とチャンネル登録数、つまりファンの数が可視化されるようになったということでしょう。
(この数値を水増しする業者も存在するので、一概には言えませんが)
いまや多数のファンを抱えるユーチューバーは企業から「うちの商品を使って映像を作ってください」と言われる存在になりましたが、ダンサーもファッションを中心にスポンサードされている人が増えてきつつあります。
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