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CMプロデューサーの可能性を探り実現したい、プロデューサーユニット「Beyond」発足

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制作会社の垣根を超えたユニット

Beyondの立ち上げメンバー。左から、泉家亮太さん(太陽企画)、小澤祐治さん(ギークピクチュアズ)、城殿裕樹さん(KEY pro)、山田博之さん(AOI Pro.)。

広告・映像制作会社4社のプロデューサーが中心になり、プロダクションの垣根を超えたプロデューサーユニットを発足した。「Beyond」と命名されたこのユニットを立ち上げたのは、小澤祐治さん(ギークピクチュアズ)、城殿裕樹さん(KEY pro)、山田博之さん(AOI Pro.)、そして泉家亮太さん(太陽企画)の4名だ。いずれも30代後半から40代前半の、現場の第一線で活躍しているプロデューサーたちである。

通常であれば競合ともなりうる4社のメンバーが、なぜ会社の垣根を超えて、このユニットを立ち上げたのか。その背景を、小澤さんは次のように語る。

「今年の春、城殿さんが前職(電通クリエーティブX)から独立するタイミングでたまたま会う機会があり、そのときに制作会社における現状の制作現場の課題を話したことがきっかけになりました。CMはもちろん、広くは映像の業界に対して、プロデューサーができることって、もっとあるんじゃないか。同じ様な夢や課題を抱いているプロデューサーが他にもいるのではないか、であれば、ひとりでやるのではなくて他の会社のプロデューサーとも連携していった方がよいのではないか、そう考えて山田さんと泉家さんに声をかけました。みんな同じ思いでした」

それから半年近く、4人で集まっては「自分たちに何ができるのか」を話し続け、今年の春、プロデューサーユニット「Beyond」として発足。それぞれが所属する会社にも了承を得て、公式サイトを立ち上げ、「広告・映像のプロデューサーの可能性を広げ、実現するために集まったプロデューサーユニット」であることを標榜した。サイトでは「モノづくりの、新しいモノがたりへ。」と掲げているが、このユニットで仕事の発注を受けるわけではなく、ここで活動することの目的はプロデューサーができるCM業界の活性化にある。

目指すのはCM業界の活性化

課題のひとつは働き方改革である。「この大きな課題にひとりで立ち向かっても、正直なところ解決はできません。でも、それぞれのプロデューサーや会社が持っている知見や情報を集めれば、根本的な解決には至らずとも、何かしらの解決策が見出せたり、新しいアイデアが出てきたりするので仕事に活かせる。これまで横のつながりがなく、自社の知見と現場での進め方しか知らなかったので、こういうことこそ業界内でシェアしていくべきことではないかと感じました」と、山田さん。

4月に実施した朝会の様子。各社の制作部の若手が30人近く集まった。

もう一つの課題として、制作の現場で働く若い人たちのモチベーションアップがある。

「僕らが若い頃は、“この人を超えるようなプロデューサーになりたい”と、その背中を追いかけてきたのですが、最近こんなプロデューサーになりたいという前向きな意識を持っている人が減っているように感じます。きっとプロデューサーという仕事が魅力的に見えていないのではないか。プロデューサーは、こんなことができるんだ、ここまでやれるんだ、という可能性や面白さを若い人たちにきちんと見せていくことが重要だし、僕らもそう動いていかなくてはいけないと思っています」(小澤さん)。

業界活性化を進める一歩として、4月と7月にBeyond主催による「モーニング座談会」を実施した。当日参加したのは、AOI Pro.、ギークピクチュアズ、太陽企画、DASH、電通クリエーティブX、パラダイスカフェの若手プロデューサーやPM。フリーランスのスタッフの情報や現場で困っていることなどを共有し、それぞれの目標も話し合ったという。これを機に、会社の壁を超えて参加者同士の交流も始まっている。

課題解決のみならず、映像に関わるプロデューサーの可能性を広げ、その仕事をボトムアップすることにも今後取り組んでいきたいことの一つだ。

今年4月にKEY proを設立した城殿さんは「独立したのは、従来の枠にとらわれず、フレキシブルに動きたいということと、プロデューサーとして新しいことに取り組んでいきたいと考えたからです。それがまさにBeyondで目指していることと一致しました。具体的なことはこれからですが、まずはプロデューサーという仕事が魅力的に見えるよう、きちんと仕事をしていかなくてはと思っています」と話す。

「これは理想ですが、将来的には映像以外の部分でも、自分たちのプロデュース力を発揮できることを、Beyondを通じて考えていけたらと思います」と、泉家さん。

Beyondでは今後プロデューサーのみならず、ディレクター、エディターほかさまざまな職種との交流会や座談会、さらには映像業界を目指す学生たちに向けての企画などを実施していく考えだ。