大量販売や購入者数の拡大を目指すより、一人ひとりの顧客に深く長く寄り添い、デジタルで自動化できることは任せ、利益を伸ばしていくには? 本間充氏の初の単著『シングル&シンプル マーケティング』(宣伝会議 刊)では、生活環境にデジタルが浸透した時代の、マーケティングの基本戦略を解説しています。ここでは発刊を記念したコラムをお届けします。
シングル&シンプルって、スケールしない?
今回執筆した『
』では、お客様に寄り添うマーケティングを、提案しています。やみくもに、大量生産、大量販売型のマーケティングをするのではなく、その商品やサービスを求めているお客様にマーケティングをするのです。このような新しいマーケティングを提案した理由には、日本市場が大きくならないこと、またお客様の生活も、多様になっていることなどがあります。
『シングル&シンプル マーケティング』
大量生産、大量消費を目指すのではなく、対話+データ分析で個人に寄り添う、これからのマーケティングを、宣伝会議の人気講師が提唱。利益を伸ばしたいマーケター必読。好評発売中。
大量生産、大量消費を目指すのではなく、対話+データ分析で個人に寄り添う、これからのマーケティングを、宣伝会議の人気講師が提唱。利益を伸ばしたいマーケター必読。好評発売中。
読者の中には、その背景とマーケティングの提案は理解するものの、それだとスケールしないのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。このスケール追求、つまり規模拡大の話題の時に、以下の2つのお話をさせて頂くことがあります。一つは、今の市場の規模を、実数で把握しているのか?もう一つは、時間で積分するというスケールもあるのでは?この2点です。今回はこの2点を少し説明しましょう。
まずは、今のマーケティングの規模を、正しく「実数」で理解しているかどうかです。マーケティングの仕事では、よく市場占有率(シェアー、%)を使うことがあります。非常にわかりやすい数字です。しかし、この「%」は率であって、「実数」ではありません。市場占有率10%を実数に戻すには、全体の数字を何にするのかにより、大きく実数が変わります。例えば、日本の人口に10%をかけるのか、日本の世帯数にかけるのかでも、大きく数字が変わります。そして、この実数、きちんと計算すると、意外と今の市場の規模は小さいのです。つまり、正しく「実数」を使って、自分の行っているマーケティングの規模を理解すると、『シングル&シンプル マーケティング』で提案している、お客様に寄り添うマーケティングのスケールでも良いはずなのです。