【前回の記事】「記者からの質問への答え方は記事に沿った「ニューススタイル」で」は
『危機管理&メディア対応 新・ハンドブック』の著者で、国内外でメディアトレーニングの講師を務めてきた山口明雄氏が、初心者のための「危機管理広報のいろは」を解説する。
Q.
記者会見中に、“答えを持っていない”または“答えにくい”質問をされることがあります。このような質問に対して、どのように対応したらいいでしょうか。A.
求められているのがコメントの場合は、キーメッセージに基づいて回答しましょう。
メディアトレーニング中に必ず聞かれる質問がこれです。私は「状況を冷静に判断すれば問題なく対処できます」といつも答えています。
質問を受けた時にまず一番にすべきことは、回答内容が公にしても問題がない内容かどうかを判断すること。答えてはいけない質問であれば、「その質問にはお答えできません。なぜなら、個人情報守秘義務に反するからです」とか「発表に関して相手側の承諾をいただいていないからです」などと、答えられない理由を話します。
会見中に用意する努力も必要
企業として当然答えるべき質問を受けたものの、話し手が回答を持っていなかったり、ど忘れしたりした場合はどうすればよいでしょうか。求められている回答の内容が事実の公表やデータの提供なのか、コメントなのかで、取るべき対応が変わってきます。
事実やデータの場合は、ひとまず「手元にない」「正確な数字を覚えていない」と正直に話すほかありません。ここからが広報の腕の見せ所。すぐに回答を手に入れ、記者会見が終わるまでに、紙に書いた回答を話し手に手渡すのです。話し手が「さきほどは失礼しました」と切り出して読み上げれば一件落着です。