【前回】「共感のヒント~「言語化」の先にある「たとえ」 【りょかち×井上大輔】 前編」はこちら
若者から共感される彼女の言葉にはどのような秘密があるのか。『たとえる力で人生は変わる』の著者 井上大輔さんとの対談後編です。
「たとえる」時は伝えたい相手のことを思って具体化する
井上:りょかちさんの文章を読んで感じるのは、直接的に感情を揺さぶっているということです。理解させようというより、共感させようとしている感じがするのですが、そのために何か工夫はされていますか?
りょかち:「誰に伝えるのか」ということはすごく意識しています。例えば、就活メディアなら、やりたいことを見つけられないから何でもできる会社に入社することを、就活生が普段よく使っている「ペンディング(保留)」という言葉を使って「ミライをペンディングする」という表現にするとか。相手がよく理解して使っている言葉を入れて、共感しやすいように意識しています。
井上:それは「たとえ話」に通じるものがありますね。本にも書きましたけど、1回抽象化して、わかりやすく具体化し直すのがたとえ話ですが、その際のポイントの一つは、「伝える相手にとって」より身近なものにするということなんです。たとえ話は、わかりにくいから使うわけで、わかりにくいのは相手に馴染みがないからだということですよね。だから、相手にとって馴染みのある表現にする。たとえ話でも、文章でも、それが本質なのかもしれない。
りょかち:はい! 私、馴染みのある言葉にはめちゃくちゃ対応しています(笑)。
井上:「たとえる力」というのは、「伝わる」「わかる」「ひらめく」という3つの力につながっていると思っています。抽象化したものを、たとえるのではなく全く別のものに置き換えると、それは新しいアイデアになるので。だからアイデアマンって大体たとえ話が上手い。りょかちさんは企画のプロでもあるわけですけど、文章で伝えることと企画の共通点みたいなことってありますか?
りょかち:抽象化した後でたとえる時って、誰が相手かがとても重要だと思うんです。うちのサービスのペルソナにはこういうUIにした方が伝わるな、とか。相手を思って具体化しようとすると「ひらめき」が生まれる気がしますね。
井上:なるほど。「ひらめく」にも相手がいるということですね。実際にひらめいたものを使う人がいるので、その人のことを考えておかなければいけないということか。たしかにそうかもしれません。
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