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「宣伝に携わるすべてのひとたちの「悩み」を解きほぐす 『面白くならない企画はひとつもない 高崎卓馬のクリエイティブ・クリニック』発売」
時代の流れと共に広告手法は変化し、WEB動画やデジタルサイネージなど新しい表現方法が確立されていっています。そんな中、時代の急激な変化に対応できず、何が面白いものなのかわからなくなってしまったクリエイターたちが増加。高崎氏の単著『面白くならない企画はひとつもない 高崎卓馬のクリエイティブ・クリニック』では、そんな悩みを抱えた若手クリエイター、宣伝担当者たちの企画を丁寧に分析し、面白い企画の作り方、正しい悩み方などを解説しています。ここでは発刊を記念したコラムをお届けします。
企画は道筋を整えて考える
会社にはいってからずいぶん長いあいだ、面白いものをつくりたいという欲だけは強いのに、そもそも「面白いって何?」みたいなことを考えることなくただやみくもに走っていました。面白いと感じたあらゆるものをスクラップして、それをそのまま使って企画する、みたいな今思うとずいぶん恥ずかしいやり方をしていました。それでもいくつかは形になっていくのでそれが稚拙なやり方だということすら気がつくこともできなかった。
10年近くたった頃でしょうか、僕は古川裕也さんに出会います。それが完全に転機でした。ずいぶん一緒に仕事をさせてもらいましたがそこで「企画の回路」、つまりロジックというものを初めて知るんです。
よくもまあ10年もそんな大事なことを考えもせずにやってたなあと思いますが、表現のほとんどの部分が感覚ではなく、論理的に説明がつくということにえらく感動したんです。論理的に説明がつくということは、僕自身がそう面白い人間でなくても、面白いものがつくれる。ということなんです。そして、あらゆる面白いものから回路を換骨奪胎していけば、自分の表現の引き出しは無限に増やしていける。それは僕にとってはインターネットの出現に匹敵する出来事でした。