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クリエイターを刺激する都市とクリエイティブの未来とは?Vol.3 佐藤カズー氏(TBWA\HAKUHODO)

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2019年9月27日から募集が開始になった、第3回「Metro Ad Creative Award」(応募締切は12月25日)。「Metro Ad Creative Award」は「これからの新しい交通・OOH広告を創造する」を旗印に掲げ、メトロアドエージェンシーと宣伝会議が企画・運営するものです。
消費者とリアルな接点を持てる交通広告・OOHは、「移動空間」や「景観の一部」という従来の概念を飛び越え、人や人、人と地域のコミュニケーションの場を生み出していく可能性があります。
本コラムでは、「Metro Ad Creative Award」の審査員らが登場。交通・OOH広告を広く、街の魅力を創造するメディアとして捉え、最前線で活躍するクリエイターたちが自身を刺激する都市におけるクリエイティブについて語ります。

今回はプランニング部門審査員のTBWA\HAKUHODO エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 佐藤カズー氏にお話を伺いました。

—AIGジャパン・ホールディングス PRIDE JERSYなど広告やメディアの枠にとらわれないクリエイティブを生み出されていますが、『都市』におけるクリエイティブ、交通・OOH広告についてはどのように考えていますか。

交通・OOH広告は都市と関わりが最も深いクリエイティブ。近い将来すごいポテンシャルを発揮する媒体だと確信しています。理由は2つあって、1つは駅近カルチャーが加速するだろうという点。全ての商業施設が今まで以上に駅セントラルになり、駅を中心にした商業圏化が顕著になっていくであろうという予測。単純に人の絶対量が増えますよね。

もう一つは、交通・OOH広告は、そこそこ強制力をもって街を行き交う人々にアプローチできるという点。SNS上でのアドは、よっぽど面白ものでない限り、ユーザーにとってはストレスでしかない。その点交通・OOH広告は街と一体化したかたちで自然と目に入るのでアドに邪魔されてる感覚が薄いのかもしれません。また、近年は搭載したカメラでターゲットに応じたアプローチや、継続的なデータ収集が可能になっています。

さらに今後は5G(第5世代移動通信システム)の世界的な普及にともない、交通・OOH広告はデジタル広告を超えるアド産業革命をもたらすのではないでしょうか。

—5Gインフラが整備されることで、交通・OOH広告、そしてクリエイティブの在り方はどのように変化していきますか。

カメラを搭載した交通・OOH広告が一般化し、膨大な収集データがもとにした『効果的な広告・見逃されない広告』がつくりやすくなることは間違いないでしょう。例えば化粧品広告の前に立つと瞬時にその商品を使った自分の姿がリアルタイムにディスプレイに反映されるなど、通信速度・処理速度が高くなることにより、よりインタラクティブでよりパーソナライズされた施策も簡単に実行できる環境になると思います。

また座標データがより正確になれば、歩く人が専用ディスプレイを使わなくてもスマホでAR(拡張現実)を活用でき、まさに近未来アニメやゲームのようなミラーワールドが実現することになるでしょう。

一般消費者にとっては『驚き』、クリエイターにとっては『創造する楽しさ』など、新たな価値をもたらします。思い返せば、交通・OOH広告がデジタル化する潮流を感じたのは、2014年度カンヌ・グランプリに輝いたブリティッシュ・エアウェイズの「マジック・オブ・フライング」です。飛行機の時刻表と連動して広告表現が変化する内容は先進性を感じました。

最近では、バーガーキングの「ザ ワッパー ディトワーキャンペーン」を通じて、OOHとモバイルの組み合わせにより座標クリエイティブが新たなフェーズに突入したことを実感。DOOHに“体験要素”を加えた、インタラクティブかつエクスペリエンスな“未来の”交通・OOH広告に触れた印象がします。これが5Gでさらに次のフェーズに行くことを考えると、ワクワクしかないです。

ブリティッシュ・エアウェイズ「マジック・オブ・フライング」

 

バーガーキング「ザ ワッパー ディトワーキャンペーン」

 

—デジタル化が加速する交通・OOH広告の現在地をふまえ、応募作品にはどのようなクリエイティブを期待していますか。

選考基準において実現可能性はもちろん大事ですが、5Gを軸としたよりパーソナルでよりインタラクティブなクリエイティブを楽しみにしている自分もいます。また駅を商業圏ととらえるならば、商品の売り場への誘導や購入意欲を掻き立てるような交通・OOH広告のアイデアが見てみたいです。将来的に駅内の商業施設が拡充され、人々の行動は駅中心になることが予想されます。交通・OOH広告にとっては大きなチャンスであり、応募者は世界初のクリエイティブを生み出せる時代にいるのです。「未来をしっかり見ているね」と思わず唸るような、新しいクリエイティブのかたちに出会えたらうれしいですね。

第3回Metro Ad Creative Awardの詳細・ご応募(応募締め切り2019年12月25日)はこちらから。

 

佐藤カズー氏

1997年Sony Music Entertainment入社。Leo Burnettを経て2009年TBWA\HAKUHODO入社。メディアの枠を超えたBig Ideaで、これまでに300以上の賞を受賞。また2012年カンヌライオンズフィルム部門審査員、2017年カンヌライオンズプロダクトデザイン部門審査員をはじめ、デザイン、デジタル、プロモーションといった多領域に渡る国際賞の審査員をつとめる。2011年JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリスト。2013年Campaign誌Japan/Korea Creative of the Year受賞。趣味は広告のパトロール。