メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

クリエイターを刺激する都市とクリエイティブの未来とは?Vol.4-1 木村健太郎氏(博報堂ケトル)

share

【関連記事】「クリエイターを刺激する都市とクリエイティブの未来とは?Vol.3 佐藤カズー氏(TBWA\HAKUHODO)」はこちら

2019年9月27日から募集が開始になった、第3回「Metro Ad Creative Award」(応募締切は12月25日)。「Metro Ad Creative Award」は「これからの新しい交通・OOH広告を創造する」を旗印に掲げ、メトロアドエージェンシーと宣伝会議が企画・運営するものです。
消費者とリアルな接点を持てる交通広告・OOHは、「移動空間」や「景観の一部」という従来の概念を飛び越え、人や人、人と地域のコミュニケーションの場を生み出していく可能性があります。
本コラムでは、「Metro Ad Creative Award」の審査員らが登場。交通・OOH広告を広く、街の魅力を創造するメディアとして捉え、最前線で活躍するクリエイターたちが自身を刺激する都市におけるクリエイティブについて語ります。

今回はプランニング部門審査員の木村健太郎氏によるコラムの第1弾です。

強くて効果的なアウトドア広告の作り方(1)

いいアウトドア広告とはどのようなものなのでしょうか。強くて効果的なアウトドア広告のクリエイティブはどのように発想すれば良いのでしょうか。今回は2回に分けて非常にベーシックなことを書いてみようと思います。

まず、アウトドア広告の強みとはなんでしょうか?テレビ広告やデジタル広告と比べてみましょう。

一般的には、テレビ広告の強みとは多くの人に届けられるという点ではリーチ(到達)ですよね。デジタル広告には同じスクリーンで商品サイトにクリックできるという点でコンバージョン(送客)という強みがあります。

でも、アウトドア広告は、PRをからめたり、スマホと連動しない限り、それ自体はリーチにもコンバージョンにもあまり強くありません。

アウトドア広告ならではの強みは、「レレバンシー」です。レレバンシーとは、関連性、親和性という意味。ひとことでいうと、ブランドやクリエイティブとスペース特性との相性です。

例えば、英会話教室にとってレレバンシーが高い広告とはどんなものでしょうか。それは、英語がもっとしゃべれたらなあと思った瞬間、たとえは海外から帰国した直後に通る国際空港の帰国ゲートに「今度こそ始めよう、英会話。」と書いてあったらなんだかやる気になりますよね。このような、ブランドについての意識や気分が盛り上がる瞬間のことを僕は、ブランドと生活者の「トキメキの瞬間」と呼んでいます。

トキメキの瞬間の見つけ方には、「購入欲求」、「使用実感」、「商品形状」、「ターゲット属性」などのアプローチがあります。今度は、カップ麺のトキメキの瞬間を例にアウトドア広告の発想の仕方を考えてみましょう。

ひとつ目は、「購入欲求」でトキめかせるという発想。その商品を買いたいという欲求が高まる瞬間を捉えるというアプローチです。カップ麺の場合は、お腹が空いた瞬間をメディア化したりクリエイティブ化したりという考え方。さっきの空港の帰国ゲートに英会話の広告をというのもこの考え方ですね。

ふたつ目が、「使用実感」からの発想。カップ麺を作ったり食べたりするときの感覚を想起させたり体験をさせたりするタッチポイントやクリエイティブ。3分待つという体験を企画にする考え方とか、カップ麺の匂いを出すアウトドア広告、とかがこれにあたります。

みっつ目は、「商品形状」からの発想。商品特徴の視覚的な類似性によるアプローチです。例えば、銭湯の煙突にカップをつけて煙を湯気に見立てる広告を開発したり、麺をすするシズルを噴水で表現したり、といった企画ですね。

そして最後は、「ターゲット属性」からの発想。主要なユーザーの行動導線を捉える効果的な方法を探すアプローチです。例えばカップ麺の消費量の多い中高生の帰り道を狙い撃ちしようといったアプローチになります。

冒頭に述べたようにアウトドア広告というのは、PRやSNS施策と連動させることによってリーチを高めたり、スマホと連動してコンバージョンを高めたりすることができます。ただし、その前に、まずレレバンシーがないと、単なるにぎやかしや、ユーザー側には何の必然性もない押し付けのノイズ広告になってしまうのです。(続く)

第3回Metro Ad Creative Awardの詳細・ご応募(応募締め切り2019年12月25日)はこちらから。

 

木村健太郎氏
博報堂 グローバル統合ソリューション局長
博報堂ケトル 取締役/エグゼクティブ クリエイティブディレクター

1992年博報堂入社。戦略からクリエイティブ、PR、デジタルを越境した統合的なスタイルを確立し、2006年博報堂ケトルを設立。従来の広告手法やプロセスにとらわれない「手口ニュートラル」というコンセプトで、アイデアを沸かして世の中を沸騰させるコミュニケーションを提案・実施している。