Critical IoTがメディアの概念を変える — 「CES2020」レポート①(玉井博久)

米国・ラスベガスで1月7日から開催されている「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2020」。江崎グリコの玉井博久氏が広告主の視点から、現地よりレポートします。

 

広告でコミュニケーションする時代からヘルスケアデータで関係を構築する時代へ

アメリカ時間の1月7日、CES2020がいよいよ開幕しました。開幕に先駆けてCESを運営するCTAはCES2020 Trends to watchにて、ここ数年のテクノロジーの全体的な流れは大きくは変わらず、IoTにAIが搭載されたIntelligence of Thingsをはじめ、VR、AR、それらを融合したXR、eSportsなどのゲーム、自動運転といった交通、運動や睡眠、体内データを取得するヘルス&ウェルネス、危機管理、ロボティクスといった分野が、昨年に引き続きますます進化していくと発表しました。

これらの分野の発展を支えるのが、5Gの存在です。2019年に5Gを搭載した機器が世に出たのが160万個だったのに対して、2023年には1億3000万個を超える5G搭載機器が世に出回ると予測しています。5Gは、4Gに比べておよそ100倍のデータのやりとりを可能にします。これだけ大量のデータのやりとりが可能になるため、CTAは5Gの普及により、Massive IoTとCritical IoTが浸透していくと述べています。

Massive IoTとCritical IoTという概念がCTAからアナウンスがあった。

Massive IoTとはデータを取得するポイントが大量にあり、これまで取得できなかったデータを大量に集めることで、一つひとつは小さなデータであっても集まることでより正確な測定や予測を可能にするものです。

一方、Critical IoTとはデータを取得するポイントは少ないものの、一つひとつはとても価値がある情報量の深いデータで、例えば体内のデータや運転中のデータの取得を可能にするものが、それに当たります。

Massive IoTによって得られるデータは個人が特定されないデータですが、Critical IoTによって得られるデータは非常に個人的なデータが含まれます。自分でも知らないような、自分の体の中身に関するデータです。日々どのような生活を送っていて体がどのような状態にあるのか、どのような感情の起伏が起こりやすいのか、さらにはどのような遺伝子でつくられた人間なのかといったデータがサービス提供会社に可視化され、管理されていくことになります。

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