【前回コラム】「クリエイティブとお金の話。 一人ひとりに合った働き方と4つの選択肢」はこちら
こんにちは。クリエイティブスタジオ「Death of Bad」の曽原剛です。
広告クリエイティブビジネスの最前線をお伝えする本コラムも4回目。前回のおさらいをすると、日本と米国・グローバルの働き方について、特に「報酬体系の違い」「キャリアの選択肢」の2つの違いについて説明しました。
今回はよりテーマを広げ、広告界全体に関するお話をしたいと思います。「アドタイ」の読者の方なら一度は聞いたことがあるでしょう「Brand Purpose(ブランドパーパス)」についてです。
ここ数年、ブランドパーパスは社内でのミーティング、クライアントとのミーティング、そして業界カンファレンスなど、いたるところで耳にするワードのひとつになりました。しかし、言葉の誤用や、「ソーシャルグッド」との混同などもたびたび散見されるように…。そこでブランドパーパスという言葉の誕生の経緯や、私が思うブランドパーパスの好事例をいくつか紹介し、その定義やあるべき姿などを読者の皆さんと一緒に考えていけたら、と思います。
「WHAT」ではなく「WHY?」 そこから始まるブランドパーパス
私がはじめてブランドパーパスを意識したのは、確か2012年ごろだったと記憶しています。Simon SinekがTed Talkで行ったゴールデンサークルに関するスピーチを見たときでした。
ご存じの通り、ブランドパーパスとは、「そのブランドが何なのか」「どんな価値なのか」「そのブランドのゴールとは何なのか」などの「WHAT」や「HOW」を起点にするのではなく、「そもそもこのブランドは、何のためにこの世に存在しているのか」という「WHY?」に対する答えを持つことです。
そして多くの場合、創業者の想いや創業時のピュアな動機やパッションにそのヒントがあるかと思います。
ではなぜ、この「WHY?」に対する答えを明確にすることが、最近になって重視されるようになってきたのでしょう。そこには大きく以下3つの背景があると思われます。
1)商品・ブランドがあふれかえる世界での新たな「差別化」要因として
「WHAT」や「HOW」だけで、は他社商品・サービスとの違いを明確にできなくなったときの拠り所として。または、増えすぎたブランドを統廃合するときに使われる新たな社内の“ものさし”として。
2)「ステークホルダー」が多様化しているから
株主、従業員、顧客、取引先といった直接的な利害関係者のみならず、インターネットの普及などを背景に、ステークホルダーが多様化。結果として、企業は地域、社会、環境といったあらゆるテーマの社会課題に対し、意義ある行動が求められるようになった。
3)人々が求める「成功」の尺度が変わってきたから
特に若い世代にとって働きたい会社を決める要素に「企業文化」や「社会や世界への貢献度」ということが重視されるなど、売上や利益、規模だけが成功を図るものでなくなってきた。
ここ米国でも、このブランドパーパスに関する議論は活発にされていますし、特にこれからの社会や世界をカタチづくることを目指した多くのスタートアップでは、この「WHY?」の部分をしっかり考え、定めることを大切にしていると感じます。
「ロサンゼルスの現場から。~日本語しかできなかったコピーライターが、気付いたら、LAでクリエイティブスタジオを設立していた話~」バックナンバー
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