本記事では、宣伝会議「編集・ライター養成講座」大阪教室27期修了生の松田佳奈さんの卒業制作を紹介。小学校で英語が正式な教科としてスタートした2020年。日本の英語教育はどこに向かうのか。翻訳に携わり英語講師でもある筆者が、エッセイストとしても活躍する翻訳家の村井理子氏への取材から「英語を学ぶ本当の意味」を探ります。
村井理子(むらい・りこ)
翻訳家・エッセイスト
1970年生まれ。京都外国語大学英米語学科卒。滋賀県在住。最新訳書に『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』(早川書房)。連載に「村井さんちの生活」(新潮社「Webでも考える人」)、「犬(きみ)がいるから」(亜紀書房「ウェブマガジンあき地」)など。
「翻訳」と聞いて何を思い浮かべるだろう。その範囲は幅広い。ノンフィクションや文芸作品、映画の字幕の他、マニュアルやWebサイトの翻訳など、仕事にまつわる翻訳には様々な分野がある。その中で、本好きな読者を納得させるという意味においても高度な翻訳能力と日本語の表現力が求められるのが、ノンフィクションや文芸作品の翻訳だろう。
翻訳家の村井理子さんは、2006年に第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュの発言をまとめた『ブッシュ妄言録』(二見書房)を出版して以来、『ゼロからトースターを作ってみた結果』(飛鳥新社)、『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(きこ書房)など、翻訳を手がけたノンフィクションが相次いで話題になっている。近年は『村井さんちのぎゅうぎゅう焼き』(KADOKAWA)、『犬(きみ)がいるから』(亜紀書房)、『兄の終い』(CCCメディアハウス)などのエッセイも人気が高く、その文章は翻訳本を読まない読者層の心もつかみ、ツイッターのフォロワー数は2万人を超える。
時事ネタやユーモラスな内容だけでなく、重く悲しい話題であっても思わず吹き出してしまう文章力はどうやって磨かれたのか、また翻訳家としての英語力はどうやって身につけたのか。