「ノイズ」を避けるために、マーケターが持つべき「統計的思考」と「判断の構造化」

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「ノイズ」を避け、より良い判断をするにはどうすべきか?

前回のコラム

でダニエル・カーネマン、キャス・R・サンスティーン、オリヴィエ・シボニーの共著である『ノイズ』について紹介し、マーケティングの現場でもこ人間の臨床的判断に基づく限り、ここに紛れ込んでくるバイアスやノイズ、そして無知について注意することを解説してきました。

今回のコラムでは、このような問題に対してマーケターがどのようなアプローチをしていけば、バイアスやノイズのエラーを避けて、正確で精度の高い判断ができるのかについて、他のマーケティングの論者の例も含めて紹介していきたいと思います。

ノイズを避けるための遅いシステム2を用いた「統計的思考」

カーネマンは、プロフェッショナルな仕事に就く人たちが判断する方法を「臨床的判断」と呼び、それが主にシステム1による直観的な速い思考によって行われると主張しています。そして、そのパターンは判断する側による主観的な「因果論的思考」であり、その結果が「異常」でない限りにおいて、ほとんど知的な努力がなされていないことを指摘していました。そしてこの判断と思考のプロセスには、バイアスとノイズが入り込む原因になり得ると言うのです。

カーネマンは判断において通常、人間がしているこの思考のパターンには死角があることを痛烈に批判しています。彼が皮肉っぽく「因果論的」という言葉を使うのは、言葉の見せかけ上は論理的で筋が通っているように見えても、「いかようにも都合のよい原因を引き出せるから」と考えがあってのことです。また、わかりやすい原因を見つけ出せなかった時でさえ、人は自分の想像する「空白を埋めることによって説明をなんとかひねりだそうとする」傾向にあり、それが人間の「世界を理解する」というやり方であるというのです。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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