※本レポートは広報会議2022年10月号より転載しています。
宣伝会議は「広報活動の効果測定」に関して、様々な立場の広報担当者と議論するプロジェクトを発足しました。「広報の評価を進化させる 効果測定研究会」と題し、半年にわたり、誌面で活動報告をしていきます。
第1回研究会には、アドビ、GMOペパボ、J‐オイルミルズ、ジャパネットホールディングス、スープストックトーキョー、スギ薬局、スクウェア・エニックス・ホールディングス、セコム、デロイト トーマツ グループ、東急建設、ハピネット、ファクトリージャパングループ、ファミリーマート、ファンケル(五十音順)の広報関連部門の担当者が参加しました。
また広報人材を育成する社会人向け大学院、社会構想大学院大学のコミュニケーションデザイン研究科 専任講師 橋本純次氏をゲストに迎え、ボードメンバーとして、広報の効果検証プラットフォームを開発・販売するプラップノードが参加しました。
KPIで分かることの限界
研究会の前半では、議論に先立つ前提の共有を目的として、橋本氏が「広報のKPIを考える前に知っておきたいこと」をテーマに講演しました。
「大学院の門を叩く企業の広報担当者の方に、所属する組織における広報部門の位置付けを聞くと、社長室直下のこともあれば、総務部門の中にあったり、経営企画を兼ねていたりと様々です。つまり、何をすれば広報が成功したことになるのかについては、その組織によってまったく異なります。ですから『広報のKPIを探求したい』という意思を持って入学した院生に対しては、まずこう問いかけています。『KPIは、何のために必要なのですか。その目的は、KPIを設定する以外の方法で、達成できないのですか』。例えば、経営層に対して、広報の価値を納得してもらうためにKPIがほしいなら、それはトップとの密なコミュニケーションで解決したほうが近道かもしれません。何のためにKPIが必要なのかが固まっていないまま、簡単にとれる指標に飛びついてしまうパターンが実は多いのです」と橋本氏は指摘します。
