「Metro Ad Creative Award(MACA)」の審査員を務める木村健太郎氏と八木義博氏が、2021年のグランプリ受賞者を交え、屋外広告や交通広告が持つ本質と、「意味ある広告」のためのポイントを明らかにしていく。受賞した応募作の評価点や、受賞者らがコンペに挑んだ思いにも迫った。
「スペチェン」と「俳句」

木村健太郎
屋外・交通広告って、広告の原型ではないかと思うんです。人が行き交う場所で体験を作る、というシンプルさが、その理由。だからこそ、アイデアと情熱があれば、誰でも携われます。僕自身、ストラテジックプラナーからクリエイティブへ転身するときに最初に手がけたのが屋外広告でした。
「MACA」には、プロはもちろんですが、広告の仕事を始めて間もない方、広告業界外の方、高校生などの学生の方と幅広い応募者があることも、それを示していると感じますね。

八木義博
第4回から第5回にかけ、応募数が約1.5倍になったと聞きました。木村さんのおっしゃる、屋外・交通広告が持つ本質的なシンプルさが広まってきているのかもしれません。
現在は、多くの人が接触するメディアとしてスマートフォンがあり、デジタル広告が拡大しています。しかし、スマホはターゲティングが前提ですが、屋外・交通広告は日常生活の中で、メッセージに偶然ふれる、という点があります。
言い換えれば、多様な背景、気分、状況にいる人々を横断できる力があるということです。私は、この点はいまの多くの広告において忘れられてしまったのではないかと思うんです。