20周年の節目に際し、これまでのコラム執筆者の皆さんから寄せられた、それぞれの領域における「これまでの20年とこれからの20年」を紹介します。
――これまでの20年間で、ご自身のお仕事の領域や関心領域において、エポックメイキングだったと思われることはなんですか
ソーシャルメディアの台頭は大きなエポックでした。
マスメディア中心から個人発信の時代へ移行し、企業と生活者の関係性が変わる中、私は日本マクドナルド在職中の2006年からミクシィ勤務中の2011年にかけて先駆的なソーシャルメディア活用キャンペーンを多く手がけました。
一方で、ソーシャルメディアには情報の信頼性問題や炎上リスク、消費者心理への負の影響もあります。企業はソーシャルメディアの特性を理解し、生活者に寄り添い本質的価値を訴求しつつ、弊害を乗り越えて信頼関係を築く必要があります。
「マス」から「個」へのパラダイムシフトの本質を見極め、新しいPRのあり方を追求し続けています。
――現在のご自身のお仕事の領域において、最も関心を寄せる/寄せられるべき課題は何だとお考えですか
デジタルメディアのパーソナライズドコンテンツ提供とエコーチェンバー効果(閉鎖的な空間の中で価値観の似た者同士でコミュニケーションを繰り返すことにより、偏った信念が増幅されること)に注目しています。
情報源の多様化とアルゴリズム調整により、異なる視点のコンテンツ提供が必要です。
これはコーポレートPRとブランディングにも重要で、ブランドの信頼性と透明性構築に不可欠です。また、
メディアリテラシー教育強化とデジタルプラットフォームの透明性向上
により、ユーザーが情報フィードの構築方法をより深く理解しやすくなります。顧客との信頼関係を深め、デジタルメディアの弊害を最小限に抑えることを目指しています。この取り組みにより、エンゲージメントとブランドロイヤルティが向上します。
――この先の20年間において、どのような変化が起きるか、どのような変化を起こすべきかについて、下記からテーマをひとつ選び、そのように考えた背景について、教えてください
- マーケティング: チャネル・流通・購買、消費・利用、および広告、メディアビジネス)
- クリエイティブ: 商品・プロダクトなどのサービスデザイン、コミュニケーションにおけるクリエイティビティ
- テクノロジー: マーテク、アドテクに限定せず、社会や個人の活動全体の可能性をひらき、生み出すもの
- サステナビリティ: 狭義の環境問題に限定せず、社会や個人の活動全体を維持改善していくもの
2040年代、サステナビリティの追求は、人類の生存をかけた至上命題となります。
AIによる管理の徹底で、個人の自由は制限され、画一的な生き方を強いられるでしょう。化石燃料は禁止、シェアリングは義務化、プライバシーや所有の喜びは失われつつあります。