モノを「つくる」だけでは、売れない時代。今、売れている商品や企画の多くは、モノづくりから販売、発信に至るまでの“全体設計”がなされている。誰に届けたいのか、そのためにどの手段を組み合わせるか──。断片でなく、一連の流れを設計する「オーガナイズ」の視点が、プロデュースには求められている。ビームスグループで法人向け事業を手がけるビームスクリエイティブチーフプロデューサーの日高正幸氏が語る、“お客さまの顔”から逆算する令和のプロデュース論。
私はビームスグループで、法人向け事業を手がけるビームスクリエイティブのチーフプロデューサーとして、商品企画やイベント、コラボレーション、PRまでアウトプットの手段を問わず、クライアント企業や自治体らとのプロジェクトに携わってきました。しかし「プロデュース」とは便利な言葉で、何かを“つくること”に関して感覚的に使ってしまうことも多いと思います。
私の肩書にもプロデューサーとありますが、私が考えている「プロデュース」とは、「オーガナイズ」に近いものです。生まれてから世に出て成長するまで、一貫してすべて面倒を見る。いわば「ゆりかごから墓場まで」のように、必要な人員や素材を集めて、つくり、責任をもって成長させる。この一連の流れが理想のプロデュースだと思っています
プロデュースは日本語で“生み出す”と訳されることも多いので、コンセプトを考えたり、モノやコトの起源となるものを考えることだと捉える人も多いと思います。でも実はプロデュースって、そんな断片的なものではなくて。モノやサービスが生まれて、世に出て、成長するまでの一連の流れの中の、どこか一部分だけを良くすることではないと思うんです。
例えばビームスの祖業であるセレクトショップで考えると、ブランド名、パッケージ、接客のトーンや言葉の選び方、サイトのデザインまで含めて、すべてを総合的に設計する必要がある。これがプロデュースというアクションだと思っています。