※本記事は月刊『宣伝会議』10月号の転載記事です。
注目のマーケティングキーワード「共感」
短期的な興味だけでなく、長期的にそのブランドを好きになってもらうためには「共感」が不可欠だと考えています。コミュニケーションの相手は、さまざまな感情や興味を持つ「人」。私たちがつくったものが面白いか、エモいと感じるかは、受け手の状態によって変わります。多くの感情に寄り添えるよう、さまざまなパターンに挑戦しながら、一人ひとりに響き、興味を持ってもらえるブランドへの「共感」を生むクリエイティブをつくり続けていきたいです。
海外での経験を原点に人と人をつなぐ仕事へ
「au」や「UQ mobile」といった通信サービスを通じて、人々の暮らしを支えるKDDI。同社のコミュニケーションデザイン部で、主に「UQ mobile」のクリエイティブ制作を担うのが、入社7年目の松岡杏珠さんだ。
幼少期の海外在住経験や大学時代の留学を通じ、「日本のブランドが世界で信頼されている」ことを感じた松岡さん。「日本の良いものを世界に届けたい」という思いと、海外にいても日本の家族や友人と途切れることなく連絡が取れつながれた経験から、「人と人をつなげる仕事がしたい」という2つの思いを抱くようになった。
大学ではマーケティングや映像制作など宣伝領域で活かせそうなことを学び、2つの思いが交差する場所として、印象的なCMを数多く手掛けていたKDDIを志望。入社時から宣伝部への配属を強く希望し、例年同部に新卒で配属されることはあまりなかったが、その願いを叶えた。
初期配属から「au」や「UQ mobile」のPR企画や公式SNSの運用などを担当し、2024年からはクリエイティブ企画グループに所属。現在は、「UQ mobile」を中心に、テレビCMやWeb広告の制作をメインで手掛けている。
親子の「本音」から生まれた共感の輪
松岡さんが印象深かった仕事として挙げるのが、「UQ mobile」の「UQ親子応援割」(※)のプロモーションで手掛けたWebCM「#親子のスマホンネ」シリーズだ。この企画は、ギャラクシー賞CM部門で優秀賞を受賞するなど、高い評価を得た。
※「UQ親子応援割」の受け付けは、2025年6月2日をもって終了している。
松岡さんが手掛けたWebCM「#親子のスマホンネ」(左)と「UQ mobile」のテレビCM「UQUEENシリーズ ともだち」篇(右)。
この成功の裏側には、徹底した顧客インサイトの探求があった。
「企画にあたり、実際の高校生100名以上とその保護者に、スマホでのコミュニケーションについて、インタビューを実施しました。そこで見えてきたのは、思春期ならではの照れくささや、言葉にはしないけれど確かに存在する親子の絆でした」と松岡さんは語る。
子が成長するにつれ親子の時間は減ると言われるが、スマホの中を見つめれば心配する親心や甘えたい子ども心がある。そんな親子のリアルな「スマホンネ(スマホでの本音)」を丁寧に描写した。
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