ポッキー一筋7年目! 江崎グリコのR30のホープ

次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する月刊『宣伝会議』の連載『R30のホープたち』。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回は、江崎グリコで活躍する村山愛子さんに話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』11月号の転載記事です。
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村山愛子さん

江崎グリコ
グローバルブランド事業部
Pocky マーケティンググループ

限定品の企画・プロモーションを担当。4~6年目は新商品の開発や基幹品プロモーションを担当し、現在はポッキー2層仕立てを中心としたポッキーブランドの企画・プロモーションなどに携わる。

注目のマーケティングキーワード「隠れフードロス」

「フードロス」という言葉は広く認知されましたが、私たちがいま目を向けるべきは「隠れフードロス」だと考えています。これは、食品が最終製品になる前の、加工過程で発生するロスのこと。実は、目に見える最終製品のロスの3、4倍にもなると言われています。「ポッキー」のように全国規模で生産・販売を行うメーカーだからこそ、サプライチェーン全体の課題として捉え、本当の意味で長く選んでもらえる商品開発に取り組んでいくべきだと思っています。

「0から1を生み出す」情熱と「食」への想い

世界中で愛されるチョコレート菓子「ポッキー」。このブランドのマーケティングを、新卒で入社して以来、7年にわたって担当しているのが、グローバルブランド事業部の村山愛子さんだ。SNS運用や季節限定品の開発からキャリアをスタートし、現在は新商品開発や大規模なキャンペーンプロモーションを担う。

そんな村山さんが「マーケター」という職種を明確に意識したのは、就職活動が本格化してからだという。企業選びの軸は、まず「食」に関わること。

「家族にお祝いごとがあるときはもちろん、辛いことがあったときも、美味しいご飯を囲んで団らんすることで皆が笑顔になった体験が心に残っています。だからこそ、子どもの頃から家族や友人とのコミュニケーションの中心にあった『食』という商材に関わり、それを提供する仕事がしたい、という気持ちが強くありました」(村山さん)。

そのなかで「自分はどんな仕事で貢献できるだろうか、何をやりたいのだろうか」と自問自答を重ねて思い出したのが、小学生から高校生まで本気で取り組んでいた漫画制作の経験だ。

「0から新しいものを生み出す活動が自分はすごく好きなんだなと思いました」(村山さん)。

この「0から1を生み出す」情熱と、「食」への思いが交差した先にあったのが、マーケターという仕事だったという。

20年の時を超える「ムースポッキー」復活の舞台裏

村山さんの仕事の集大成のひとつが、2024年12月に発売された「ポッキー2層仕立て」の企画だ。同商品は、2000年に発売され、生産が追いつかないほどの大ヒットとなった「ムースポッキー」の配合をベースに、現代の生活者の価値観に合わせて生まれ変わらせたもの。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。

写真 商品・製品

2000年に発売し好評を得た「ムースポッキー」をもとに、村山さんが企画した「ポッキー2層仕立て」。

「20年以上前の商品なので、当時使っていた原料が手に入らなかったり、レシピの正確な再現が難しかったり。まさに困難の連続でした」と村山さんは振り返る。

しかし最大の壁は……、

…この続きは10月1日発売の月刊『宣伝会議』11月号で読むことができます。
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