佐賀県「サガプライズ!」の舞台裏——行政へデザイン視点を導入、その挑戦が人材育成・確保に波及

佐賀県の情報発信プロジェクト「サガプライズ!」は、IPコンテンツとコラボし、話題を集めています。コンテンツを生み出す過程は、職員の育成にもつながっていると言います。佐賀県 広報広聴課長の金子 暖氏が解説します。
※本稿は『広報会議』の連載「地域活性のプロが指南」より転載しています。1回目の原稿はこちら
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文/佐賀県 広報広聴課長 金子 暖氏

かねこ・だん 大手アパレルメーカーを経て、2005年佐賀県入庁。2012年に首都圏エリアにおける情報発信プロジェクトの設計に携わり、「サガプライズ!」初代プロジェクトリーダーとして様々なコラボを展開。その後、文化課、観光課長を経て2023年から現職。

「サガプライズ!」は情報発信を担うだけでなく、県庁の人材育成の面でも一役買う。現在3人のメンバーのうち民間出身は1人。残り2人は新卒で入庁した20代のプロパー職員で前経歴は長寿社会課と土木事務所などに所属。アニメやゲームなどIPコンテンツが好きな職員ではあるが、広報やプロモーションの業務を経験してきたわけではない。実際、サガプライズ!にアサインメントされる職員は初めて広報業務に携わる職員が多い。

マニュアルは存在しない

サガプライズ! は一般的な広報業務に加え、コンテンツをゼロから生み出す「コラボレーション」というプロセスがある。コラボ手法で世の中がアッと驚く佐賀県コンテンツを生み出さないと発信の仕事が始まらない。しかも、コラボ先とコミュニケーションを図りながら、時に大いに議論を交わしながら、双方で一緒に価値を生み出していく。

当然、コラボプロセスは全て新規なのでマニュアルはない。ディレクションを任された一人の職員が、自ら考え、未知のことにも主体的に取り組んでいく。私もサガプライズ! の現場時代、コラボが成立しなかったり、クオリティが上がらなかったりと、生みの苦しみを何度も痛感した。

さらにステークホルダーも多い。コラボ先企業の方針やブランドの世界観、県内企業や県民のニーズ、プロモーションを行う庁内各課の目的、コラボファンの熱い思い、メディアが取り上げたいストーリーなど、いくつものステークホルダーと良好な関係構築が必要とされる。そのため、常に鳥瞰的な視点でプロジェクトを設計し、進行管理することが求められる。

求められる役割が変化

地方自治体における住民ニーズや地域課題は一昔前と比べ多岐にわたるようになった。広報においても同様だ。私も民間からUJIターン枠で佐賀県に入庁し15年間ほど広報の現場にいるが、入庁した頃と今とでは、ユーザーの注力メディアや情報ツールは劇的に変化した。それに伴い、求められる行政情報や発信するコンテンツの質も大きく変わった。

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