※本稿は『広報会議』の連載「地域活性のプロが指南」から転載しており、今回が第1回目となります。
宮崎県小林市。霧島山麓から湧き出る天然水、日本一の宮崎牛、日本一の星空、チーズ饅頭発祥、高校駅伝の強豪など全国に誇れる名物・魅力をふんだんに有するまちですが、「フランス人が出ているあの方言動画」と聞いて、ピンとくる人も多いかと。
“広告換算額10億円以上”、“自治体PRムービーブームの火付け役”とも言われたバズから10年。現在でも認知度向上や郷土愛醸成のため、あらゆる手段でシティプロモーションに取り組んでいます。今回は初回なので、約10年間で小林市が取り組んできたプロモーション活動を俯瞰してご紹介します。
きっかけは消滅可能性都市への危機感
小林市が本格的にシティプロモーションに取り組むきっかけになったのは、2014年5月に公表された増田レポート(正式には、日本創成会議による提言)でした。2010年から2040年までの30年間で、20~39歳の若年女性人口が半減する自治体を「消滅可能性都市」と定義し、全国896自治体がこれに該当すると指摘。小林市もこの「消滅可能性都市」に該当していました。2024年に人口戦略会議が公表した分析で、「消滅可能性自治体」からは脱却できたものの、当時、小林市に走ったインパクトは相当なものでした。
反響を呼んだPR動画「ンダモシタン小林」
このような背景もあって、2014年に立ち上がったプロモーションプロジェクトが「てなんど小林」です。プロジェクト名称の「てなんど」とは、「一緒に」という意味の方言「てなむ」と「ブランド」を掛け合わせた造語で、「みんなで一緒に、小林市の魅力をブランド化していこう!」というメッセージを込めて採用しました。市民ワークショップでのアイデア出しや、展開する事業が市民・出身者巻き込み型であることが特徴です。
目玉事業は、難解な方言「西諸弁(にしもろべん)」を活用したもので、特に冒頭で触れた、小林市移住促進PR動画「ンダモシタン小林」は、さまざまなメディアで取り上げていただきました。公開からわずか3カ月余りで172万回再生を超え、ギャラクシー賞や広告電通賞など国内外多数の賞を受賞。動画を公開してから、1カ月で移住相談件数は4.5倍、市ホームページの閲覧数は10倍という定量的な成果も上げました。