次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する月刊『宣伝会議』の連載『R30のホープたち』。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回は、味の素で活躍する青木小春さんに話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』12月号の転載記事です。
注目のマーケティングキーワード「社会記号」
PRのバイブルにしている、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんの著書『「あたりまえ」のつくり方』で出会った言葉です。「草食男子」や「朝活」のように、新しい概念に名前がつくことで、その価値観が社会に浸透していく。この「社会記号」の力が、新しい当たり前をつくる上で非常に重要だと考えています。私も、食卓の“不”を解消できるような、ポジティブな社会記号を生み出していきたいです。
人はなぜ「買いたい」と思うか?
100年以上にわたり、日本の食卓を支え続けてきた味の素。そのマーケティングの中核を担うべく2023年に設立されたマーケティングデザインセンターで、PRとインフルエンサーマーケティングの最前線に立つのが、入社7年目の青木小春さんだ。
「買い物が好きで、『人はどう思ったら、商品を買いたくなるのだろう』ということに強い興味がありました」と語る青木さん。
その探求心から、大学では社会心理学を専攻。卒業論文ではSNSと消費行動の関連性を研究するなど、人の心を動かすメカニズムを学んだ。その興味は、就職活動で「人の生活に毎日携われる」食品メーカー、そして味の素へと向かう。
「毎日の食事は必要不可欠ですが、だからこそ負担や悩みといった“不”を感じる瞬間も少なくありません。味の素の製品は、そんな日々の食卓に必ず関わることができる存在。その“不”を少しでも解消し、穏やかな日常を届けるお手伝いがしたいと考えました」(青木さん)。
入社後5年間は、量販店向けの営業を担当。異動にあたり、当初は商品開発部門を志望していたが、上司にPR領域への適性を見出され、2024年7月からマーケターの道へ。結果的に、学生時代からの探求テーマが現在の仕事に活かされることになった。
「0から新しいものを生み出す活動が自分はすごく好きなんだなと思いました」(村山さん)。
この「0から1を生み出す」情熱と、「食」への思いが交差した先にあったのが、マーケターという仕事だったという。
開発者の熱量を直接届ける 前例なき「発表会」改革
青木さんの現在の仕事の真骨頂といえるのが、半期に一度開催される新製品発表イベントの企画・運営だ。従来、新商品は店頭に並ぶまで生活者に情報が届きにくく、認知獲得に課題があった。この状況を打破すべく、2023年春夏期からインフルエンサーに直接、新商品の価値と開発者の「思い」を届ける新しい形の発表会を開催。自らが担当した2024年秋冬期からメディア向けにも展開を広げた。
2025年春夏期の新製品発表イベントで学生に扮して説明する青木さん。
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