前回は、Netflixなどの配信プラットフォームがエコシステムを支配しつつある現状に対し、日本のIPだけが持つ「2つの武器」について解説した。 1つは、アルゴリズムを優先するプラットフォームには真似できない「ファンコミュニティとの対話力」。もう1つは、熱量を最大化するための「メディアミックス」という展開力だ。
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今回は、これらの強みを活かして、日本のIPホルダーがコンテンツ配信プラットフォームから主導権を取り戻すための戦略と、それを担う次世代の「IP人材」に必要なスキルについて提言する。
配信プラットフォームと交渉できるか? 強気の姿勢が必要な理由
日本のコンテンツ産業が目指すべきゴールとして重要なのは、「IPのプラットフォーム化」だ。ここで言う「IPのプラットフォーム化」とは、Netflixのようなグローバルテックジャイアントに対抗して、同規模の配信インフラを自前で構築することではない。ちなみに、かつてクールジャパン機構が主導した官民協働プロジェクト「DAISUKI」(2013-2017年)がその構想を掲げたが、大きな成果を上げるには至らなかった。
つまり必要なのは、“コンテンツ配信インフラ”での対抗ではなく、IPのポテンシャル、すなわち配信プラットフォームに対する「交渉力」を正しく行使できるようになることだ。日本が続けてきた製作委員会方式が、IPを核としたリスク分散型のB2Bプラットフォームとしての機能を備えており、ファンコミュニティとの対話に強みがあると前回指摘したが、それらの特徴はグローバル配信プラットフォームにはない強みとなっている。
とはいえ、アニメの供給力は限界を迎えつつある。配信プラットフォームが実写ドラマなど別形態のメディア調達を模索する動きも出始めているが、少なくとも現時点では、彼らは日本のアニメIPが欲しくてたまらない。その強い需要を背景に、IPプラットフォーム側が「データ開示なくしてコンテンツ提供なし」くらいの強い姿勢で臨むことが、主導権を取り戻す第一歩となるはずだ。そのために必要なのが、「IP人材」の再定義である。
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