クリエイターの皆さんに独自のお題を設定してもらいプレイリストをつくってもらうシリーズ企画。今回はたきコーポレーションのCŌBŌ 代表/デザイナーであり、DJ ユニットSoi48として音楽活動や執筆も行う髙木紳介さんに選曲をしてもらいました。プレイリストはSpotifyでも公開中です。
耳から始まる、アジアの沼
市場のスピーカーから、聞き覚えのあるヒット曲が原型を失うほど速く、激しく、奇妙に鳴っている。レコード集めが高じてタイ音楽のディスク・ガイドを出版した2017 年。タイの若者たちは「サイヨー」という生まれたての音楽に夢中だった。
周りを見れば、フィリピンにはDJ Loveが発明した「ブドッツ」、日本でも馴染み深いインドネシアの「ファンコット」、SNS で毎日流れてくるベトナムの「ビナハウス」や中国の「慢揺」。タイの「サイヨー」はお隣のカンボジアやラオスまで飛び火していた。
アジアのあちこちで、その土地のリズムから新しいダンスミュージックが生まれ、音楽だけじゃなく、クラブマナー、ファッション、フライヤーや内装、踊り方も欧米とは全く違う方向に進化した。
王道ダンスミュージック好きから見ても、ベルリンやロンドンに負けないその破茶滅茶さに僕はすっかり虜になった。EDM への対抗心も込めて、音楽から遊び方までひっくるめて「ADM(Asian Dance Music)」と名付け、アジア各地の現場に通っては勝手に記録を続けている。
リアルADM の多くは、全米TOP40 の人気曲ランキングからその国のヒット曲、生活音、時事問題までなんでも飲み込んだリミックス文化。ルールという枷が外れた音源は抜群にかっこいい半面、サブスクではほとんど聴けない。だから今回は派生した流行歌を中心に、まるでアジアの街角を歩き回るような「ごちゃ混ぜの曲順」にこだわってセレクトした。時代も知名度も再生回数も関係ない。きっと今日もどこかの市場やモールで暴力的な音量でかかっているADM。
広告・デザインの最前線で脳をフル回転させている皆さん、耳だけでも、アジアの沼へ旅してみません?
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