岩田奎さんの選ぶ、“韻律” にこだわり尽くした10曲「ドーパミン・ジャパン」

クリエイターの皆さんに独自のお題を設定してもらいプレイリストをつくってもらうシリーズ企画。今回電通のコピーライターで俳人でもある岩田奎さんに選曲をしてもらいました。プレイリストはSpotifyでも公開中です。

日本語が荒ぶるとき

私にめしを食わせてくれているこの言語は、わけのわからないことを高速で歌うのに多分けっこう向いている、と思う。

音節あたりの情報量でいうと日本語は抜きんでて低い(その分抜きんでて早口になる)という研究もあれば、能楽はかつてずっとハイスピードで演じられていただろうという論攷もある。この国の言語文化というとどうしてもスローな印象を抱きがちだが、そのじつかなりファストなのである。「ドパガキ」こそが我らの文化の基本的な性格であるとさえいえよう。

というわけで、日本語のそうした側面を体現していると思われる曲を集めてプレイリストをつくってみた。選ぶ際に心がけたのは、精神的な内容にも重きを置くヒップホップ文化をあえて基調にしないこと。意味というよりも“ガワ”の韻律になみなみならぬこだわりを示し、日本語をただただ「音の素材」として前景化させている曲を選んだ。

一方で泣く泣く削ったのは、電気グルーヴや水曜日のカンパネラのほか、TWIGY『七日間』、人間椅子『相剋の家』、鎮座DOPENESS『乾杯』、ニノチカ『ハトが2 匹いるね』など。

こうして曲を並べてみると、藤井貞和(詩人・国文学者)の作品を借りた10 曲目『つぎねぷと言ってみた』へ向けて、言霊そのものの沸き立ちとでもいうべき流れが見えてくる。その中で、鬱々とした昂揚やくどくど続く愚痴の割合が大きくなるのには驚いた。考えてみれば、人は幸せなときにあまりたくさん喋ったり歌ったりしないものなのかもしれない。

うーん、この人たちはいったい何を言ってるんでしょう。言葉というものへの大きなフェティシズムと、そして信頼のなさを感じます。

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岩田奎(いわた・けい)

2022 年入社以来、電通にてコピーライター。業務上特段の活躍もないながら香港から和歌山まで硬軟聖俗のクライアントを担当。最近はゼスプリ、ダイハツ工業、ロート製薬、J-WAVE など。受賞少数。音楽関連ではimase さん、ブランデー戦記さんのお仕事も。それと俳人をやっており、俳人協会新人賞や田中裕明賞に加え生意気にもForbes 30 Under 30 Asia に選出。2026 年7月、第2 句集『敵』(書肆侃侃房)刊行。同年9月、アートコレクティブ「やる」にて下呂 Art Discoveryで公演。

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