ぬい撮りで広がる縁、杉並区・なみすけと歩いた20年――杉並区公式アニメキャラクター「なみすけ」

今、多くのブランドが再評価しているのが「物理的な接点」である。その中でも、スマホの画面を越えてファンの手元に届く「ぬいぐるみ」というデバイスは、いかにしてブランドへのロイヤルティを形成するのか。連載「愛されぬいの履歴書」第9回は、2006年の公募により誕生し、今年で20周年を迎える東京都杉並区の公式アニメキャラクター「なみすけ」を取材した。

281件の応募から選ばれた「杉並区公式アニメキャラクター」

なみすけは、地域への愛着を深め杉並の魅力を発信する「すぎなみの輝き度向上」運動の一環として、2006年5月1日から7月10日にかけて公募された「杉並区公式アニメキャラクター」だ。杉並区にアニメ関連企業が集積していることをPRする狙いもあったという。全国から寄せられた281件の応募の中から最優秀賞に選ばれたのが、当時、東京藝術大学デザイン科に在学していた五味由梨さん(現在はフリーランスデザイナー)による「なみすけ」だった。

なみすけの誕生日は10月1日。「スギナミザウルス島」という架空の島に住んでいた妖精で、島を船で旅立ち、憧れていた杉並区にたどり着いたという物語を持つ。普段の主な活動は「杉並区内を散歩すること」。妹の「ナミー」や「なみきおじさん」、杉並で出会った友達「スピト」「タネタ」も登場し、世界観を広げている。

ぬいぐるみの制作は、なみすけが誕生した2006当初から続けられてきた。「誕生当時から、区民の皆さまになみすけを認知していただき、愛着も持っていただけるように継続して作成してまいりました」と区役所産業振興センターの担当者は振り返る。区民との関係を築く手段として、当初からぬいぐるみが重要な役割を担ってきたことがうかがえる。

立体化にあたっては、現在も生みの親である五味由梨氏が造形を監修。以来、ぬいぐるみのフォルムに大きな変更は加えられていない。一方で、なみすけのぬいぐるみは、制作時期によって毛並みの風合いや質感に若干の違いが生じる場合があるが、いずれもなみすけらしい見た目や品質を大切に制作されており、ファンはそれぞれなみすけの個性として楽しみにしているという。「昨年からは、オリジナルのなみすけにより近い明るいグリーンのぬいぐるみになりました」と担当者は話す。

なみすけとナミーのぬいぐるみ。

2007年からはボールチェーン付きマスコットの販売も始まった。こちらは初代から現在まで、色やフォルムにいくつかの変遷があるという。長く続くキャラクターだからこそ生まれる、こうした細やかな調整の積み重ねが、なみすけへの親しみを支えている。

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愛されぬいの履歴書
月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

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