顧客と会社を結び「相互乗り入れ」のような感覚に―「東急電鉄キャラクター のるるん」

今、多くのブランドが再評価しているのが「物理的な接点」である。その中でも、スマホの画面を越えてファンの手元に届く「ぬいぐるみ」というデバイスは、いかにしてブランドへのロイヤルティを形成するのか。連載「愛されぬいの履歴書」第7回は、2012年の登場以来、鉄道ファンや沿線住民に深く愛され、現在は駅係員や乗務員たちをも巻き込むイベントの主役でもある「東急電鉄キャラクター のるるん」を取材した。

写真 のるるん

丸い目にこだわり

2012年8月に初めて姿を現した「のるるん」は、東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転という大きな節目をPRするために登場した。その後、2013年12月からぬいぐるみの発売が開始されている。

立体化にあたり最も試作と調整を繰り返したのが、「のるるん」の特徴である「丸い目」の再現だった。

同社コーポレート本部 広報・マーケティング部 沿線企画課の主任事務員である佐々木誠氏は、立体化における造形の難しさを次のように明かす。

「『のるるん』は丸い目が特徴ですので、2D図面では問題なくても、立体物とする際には目の位置が拡がってしまったりします。そのため、位置だけでなく、白目と黒目のバランスについて納得するまで試作を繰り返しました」。

写真 のるるん

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「のるるん」のこだわりの造形。

また、キャラクターの立体化で避けて通れないのが「保管」に関する問題だ。「ぬいぐるみはロットも多く、容積もとるので、在庫保管スペースを確保することに苦労しています」という、リアルな舞台裏も語る佐々木氏。可愛いグッズを作るという華やかな側面の裏で、物理的なモノとしての管理体制をどう構築するかという点も、実務者にとっては見逃せないポイントだ。

顧客との心理的な「相互乗り入れ」を果たすぬいぐるみの力

現在、のるるんのぬいぐるみや関連グッズは、駅売店や「電車とバスの博物館」、オンラインショップ「TOKYU STYLE」などで展開されている。

写真 のるるん

サイズやコスチューム違い、カラビナつきのマスコットなど様々な種類を展開する。

溢れるファンの「ぬい撮り」投稿を、見守っていると佐々木氏は話す。写真を通じて、「のるるん」が顧客にとって身近な存在になり、生活の一部となっていることを実感できる瞬間が、担当として嬉しい時間だという。

「お客さまと当社との間で共通の『愛すべき存在』を、お互いに楽しみ、育てていくうちに距離が近くなる。まるで『相互乗り入れ』のような感覚になっていただけているのかな、と思います」。

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愛されぬいの履歴書
月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

月刊『宣伝会議』編集部

情報が溢れるデジタル時代だからこそ、手で触れられる「ぬいぐるみ」の存在が、ブランドとファンの絆を深める特別な鍵となっています。本連載では、単なるグッズの枠を超え、ブランドの想いを届ける「広報担当」として奮闘するぬいぐるみたちにスポットを当てます。SNSで愛される「ぬい撮り」の裏側や、彼らが誕生するまでの物語を「履歴書」と共に紹介。等身大のぬいぐるみたちが、いかにして人々の心に寄り添い、愛される存在になっていったのか。その軌跡を紐解いていきます。

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