プロフィール:2006年博報堂ケトルを設立、共同CEOとして数多くの統合キャンペーンを手掛ける。2004年本屋大賞設立に参画。現NPO法人本屋大賞実行委員会理事。内沼晋太郎氏と東京・下北沢に本屋B&Bを運営。三省堂書店神田神保町本店リニューアルプロジェクトなどを担当。
文楽や歌舞伎など古典芸能が好きなのですが、Netflixの最新作に描かれるような人間ドラマも、そのプロットはすでに古典に描かれていることにいつも驚かされます。日本の国の始まりを描いた神話『古事記』にも、神様同士が嫉妬して一大バトルを繰り広げたり、恋愛関係がもつれたりと、あらゆる人間ドラマが詰まっています。
『口訳 古事記』は『古事記』を町田康氏が現代語訳にしたものですが、神様たちがヤンキー口調で登場します。「あいつ捕まえてボコボコにしたれ!」とか、「マジすか?」なんて神様が話しているんです。「あのブヨブヨしてるものを、もっとちゃんとしたらいいのちゃう」なんてイザナギとイザナミが話して日本列島をつくるんですよ。
プロフィール:1977年東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務、2018年より個人で書籍の校正を行う。著書に『文にあたる』(亜紀書房)、『校正・校閲11の現場』(アノニマ・スタジオ)、編著書に『贈り物の本』(亜紀書房)など。
写真撮影: 疋田千里
校閲記者は、新聞紙面にあらかじめ目を通して誤りがないか精査し、改善点を指摘・提案する専門職だ。本書では、「はなむけ」を「花むけ」と書いてしまうような日本語のミスから、「東京都新宿区の商業施設『バスタ新宿』」といった事実関係のミスまで、豊富な実例をもとに、どうすれば防げるかが解説されている。書籍校正者として駆け出しの頃から座右に置いている一冊。
書き間違いや事実関係の誤認は、不信とすれ違いを生む。メディアも個人間のやりとりも同じことだ。だが、校閲記者はミスを見つけたとき「本当はどう書きたかったのだろう」と想像を巡らせるという。他人のミスにいきり立つのではなく、「本当は……」と思いを馳せることは、いまの時代にますます必要になっているように思う。
プロフィール:1979年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学卒。豪勢スタジオ代表。NHK『タローマン』シリーズをはじめ、考え抜かれたくだらないアイデアで数々の話題をつくる。映像を中心に広告・MV・展示など、幅広いコンテンツを手掛ける。近作に映画『大長編 タローマン 万博大爆発』監督・脚本、ドラマ『ポリティカルパン』ポスターデザインなど。
僕がものづくりに目覚めたきっかけのひとつは、小学生の頃に読んだ『まんが道』でした。法事の日、親戚の家で読み始めたら夢中になってしまい、親族みんなが出掛けて帰ってくるまで、日も暮れた暗い部屋で一人、ずっと読み続けた記憶があります。
特に好きだったのが、反射幻灯機という簡易的な映写機を自作して、自分たちの描いた絵を壁に映す場面。「こういうことがやりたい」と思ったあの感覚は、今の自分のものづくりにも確実につながっています。
この本に詰まっているのは、とにかく「面白いものをつくりたい」という情熱です。忙しさやいろんな事情に追われていると、そんな気持ちは案外すぐにどこかへ行ってしまう。もっともらしいことばかり言って、いつの間にか汗をかかなくなったおじさんこそ、いま読むべき一冊だと思います。



