高級リゾート化するニセコ、価格高騰で町民にも負担… “地元民だけお得”な住民優待が経産大臣賞 地域課題対応が評価された「ジャパン・ツーリズム・アワード」

第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」の表彰式が9月24日、東京ビッグサイトで開催された。応募は過去最多の272件。今回は「内閣総理大臣賞」と「スタートアップ特別賞」が新設され、内閣総理大臣賞にはnarrativeの「narrative inside」が選ばれた。

同アワードは、「ツーリズムの発展・拡大に貢献した国内外の組織や企業、団体、個人による持続可能で優れた取り組み」を表彰するもの。今回の主な受賞取り組みには、古民家などの再生から冬季休業施設の活用、観光地の物価高への対応、野球場を核としたまちづくりまで、地域課題を観光につなげた事例が並んだ。

写真 第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」の表彰式

第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」の表彰式

古民家を「点」ではなく「面」で再生

内閣総理大臣賞を受賞した「narrative inside」は、古民家や酒蔵、銭湯といった地域資源を再生し、宿泊施設や飲食店などの事業として活用する取り組みだ。

単に建物を改修するだけでなく、地域の事業者と連携し、企画から資金調達、施設開発、その後の運営やマーケティングまで一体で担う。

奈良県では、酒蔵と連携した宿泊施設の開発や、70年間途絶えていた醤油づくりの復活、廃業した銭湯の再生などに取り組んできた。

審査資料では、全国で年間約4万棟の古民家などが失われているとしており、それらを持続可能な文化財再生事業として展開している点を評価。補助金などに依存せず、企画、資金調達、開発、運営、マーケティングまでを一体で担う民間自走型の事業モデルも評価された。

表彰式でnarrativeは、同社が「文化財」と捉える対象は歴史的な建築物だけではないと強調。酒やしょうゆ、銭湯、祭りなど、地域に受け継がれる文化も対象としていると説明した。

 “冬眠”ゴルフ場が雪を観光資源に

国土交通大臣賞には、アルペンが北海道・美唄市と連携し、冬季休業するゴルフ場を雪上アクティビティ施設として活用する「Alpen SNOWLAND BIBAI×美唄市」の「冬眠するゴルフ場から始まる地域創生」が選ばれた。

北海道美唄市のゴルフ場は冬季閉鎖が常識だった。そこで、雪上アクティビティフィールドへ転換し、雪上熱気球やスノーモービル体験などを提供。冬季の収益機会の損失や、従業員の冬季出向、人材流出といった経営課題への対応にもつなげた。

取り組みは2017年に始まった。表彰式でアルペン側は、初期のイベントでは200人の来場を想定していたものの、実際に訪れたのは35人だったと説明した。

その後、熱気球の導入やスノーモービルの増強などを進め、来場者は3万5000人まで増えたという。現在は来場者の9割超を海外客が占める。

美唄市側は、かつて石炭採掘で栄えた地域の歴史になぞらえ、石炭という「黒いダイヤ」から、従来は厄介者だった雪を「白いダイヤ」に変えていく契機にしたいと語った。

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