SNSを熟知し“界隈マーケティング”に強みを持つindi 事業開発の知見を活かしクライアントと価値共創

「寝そべって聴くオーケストラ」という、ユニークなコンセプトの音楽体験が注目されている。これまでクラシックになじみの薄かった若年層などの市場拡大にも寄与し、都内や横浜でのスタートから現在は全国で年間動員10万人の規模に広がっている。

手がけるのは、エンタメ・文化領域のマーケティング支援を強みとするindi(インディ、東京・目黒)。同社はクライアントワークの一方で、創業当初からこうした「自社事業」にも力を入れているのが特徴だ。そこで得た知見と現場感覚を社員全員が共有することで、クライアントに近い視点からより実効性の高い提案につなげている。

indiが掲げる「界隈マーケティング」を軸に戦略から実行まで伴走する事業アプローチについて、代表取締役の金永振氏と、戦略アクティベートグループディレクターの吉尾岳修氏に聞いた。

事業開発で得た知見をクライアントに還元する

電通出身の金永振氏を中心に、楽天、リクルートなど多様な業界出身者で構成されるindi。同社がユニークなのは、「クライアント支援」と「自社での事業開発」の2軸を並行している点だ。その理由について、金氏は次のように話す。

「自らリスクを取って事業を手がけることで、そこで得た経験やノウハウがクライアント支援に役立つと確信しているからです。

SNSが普及し、商品開発から集客、販売までを一貫して手がけることのハードルが劇的に下がっています。ある時は痛い目を見ながらPDCAを回すことで、マーケティングの“筋肉” が鍛えられる。だからこそ私たちは、スタートアップコンテンツの事業開発と、クライアント支援の2軸を創業時から掲げています」(金氏)

indi代表取締役 金永振(きむ・えいしん)氏

indi代表取締役 金永振(きむ・えいしん)氏
慶應義塾大学理工学部を卒業し、2005年に電通入社。テレビビジネス・ディベロップメント、マーケティング・ディレクション、コンテンツ・プロデュースなどの業務を経て2018年に独立。エンタメ・カルチャー領域のコンテンツマーケティングを専門とし、アーティスト・クリエイターとの共創事業とマーケティング支援の二軸で事業を展開している。

その考えを体現しているのが、indiが自ら企画・運営する「CHILL CLASSIC CONCERT(チルクラシックコンサート)」だ。「寝て・飲んで・しゃべってOK」というコンセプトで、これまでにない新たな音楽体験を提供する狙いで立ち上げた。

2021年の初開催時は300人の動員からのスタートで、コロナ禍もあって当初は赤字だった。しかしSNSで顧客と直接つながり、アンケートの声をもとに選曲や座席、室温に至るまで改善を重ねながら体験価値をアップデート。ユニークなコンセプトが若年層やメディアからも注目を集めた結果、5年目の2026年に全国展開を果たし、年間動員10万人を突破する見込みだ。

新しい音楽体験の提供で人気が広がる「CHILL CLASSIC CONCERT」

「クライアントワークの場合、最終的な判断はクライアントが行うことが多いですが、自社事業であれば、仮にうまく行ってなかったら自ら進んで改善策を打つこととなります。その実体験があるからこそ、支援の際にも事業側の目線で本質的な処方箋が提案できるのだと考えています」(金氏)

SNS時代にこそ必要な「WHO・WHAT・HOW」

「CHILL CLASSIC CONCERT」の成功は、SNSの拡散力に頼っただけのものではない。根底にあるのは、マーケティングのフレームワーク「WHO(誰の心を動かすか)・WHAT(何が価値になるか)・HOW(どんな接点で届けるか)」の設計だ。

indiには多様な業界の出身者が集まっているが、このフレームワークを共通言語とすることで、経歴を問わずindi流のマーケティング品質を実現している。楽天などでデータ分析を担当し、現在は戦略領域をリードする吉尾岳修氏は、統合プランニングの重要性について次のように話す。

「SNSは非常に有用なツールであることは間違いありません。使い方によってはマスメディア以上の影響力を持ちうる手法が登場したことで、認知や関心の新しいつくり方が生まれました。その一方で、バイラルさせることもインフルエンサーに扱ってもらうことも、すべては“手段”であり、目的と逆転させないことが重要です。

多様な価値観が乱立する現代において重要なのは、ツールに頼ることではなく、コミュニティごとにWHO・WHAT・HOWをゼロから思考し、統合していく力です。自社事業でKGIやKPIを厳しく追いかけているからこそ、クライアントワークでも『その施策は本当に事業のゴールへ向かっているか』といつでも振り返ることができていると感じます」

indi 価値共創セクション 戦略アクティベートG ディレクター 吉尾岳修(よしお・たけのぶ)氏
京都大学法学部卒業後、楽天に新卒入社。採用人事、全社横断マーケティング組織にて楽天会員データ分析、楽天モバイルローンチ直後の経営企画業務を経験。その後リクルートの教育事業で営業企画やマーケティングを担当したのちindiに入社し現職。

「若年層ターゲットだからTikTokで」といったプラットフォームありきの提案ではなく、課題に対するデータ分析からWHOとWHATを定義し、最適なHOWを組み合わせる。このプロセスこそがindiのプランニングの根幹にある。

人力で探る「界隈マーケティング」でインサイト発掘

indiが掲げる「界隈マーケティング」も、この戦略思考の上に成り立っている。特定の興味関心や価値観でつながる人々の“界隈”を捉え、ブランドを浸透させるアプローチだ。

「『界隈』とは、『そのジャンルが好き/興味のある人たち』といった意味で、SNS上で発信力の強いインフルエンサーなどを中心に捉えることができます。ただ、X、Instagram、TikTokなどのプラットフォームにはそれぞれ独自のカルチャーが存在するため、ツールで機械的にターゲットを抽出するだけでは不十分です。

私たちは、マーケティング知見を持ったチームが“人力”で各プラットフォームを探索します。どんな集団に属し、どんな人に影響を受け、どんな言葉を使っているか。まずは界隈のノリや空気感を突き止めることから始めます」(金氏)

吉尾氏も、このプロセスにおけるデータとインサイトの重要性を語る。

「ターゲットとなり得るXのアカウントデータを抽出した後、どんな文脈で言葉が消費されているのか、投稿の裏側にある感情まで一つずつ目で追って読み解いていきます。そこから『なぜこの人たちはこういう行動をとるのか』というインサイトを導き出し、界隈の熱量を理解した上で、ブランドがどんな価値を提供すれば刺さるのかをつなぎ合わせることが私たちの役割です」(吉尾氏)

事業やSNSの知見をベースにした「界隈マーケティング」に強みを持つ

自社事業の「CHILL CLASSIC CONCERT」にも、界隈マーケティングのノウハウを活かしている。まずはターゲットのメディア利用傾向を把握し、そのうえで集客プロモーションの中心にSNS施策を置いた。広告配信のロジックやクリエイティブはA/Bテストなどで検証して精度を高めるとともに、公演のたびに来場者アンケートを実施し、チルクラシックに集まる“界隈”への理解を深めながら改善を続けている。SNSとリアルの両方を使い、全体を見ながら適切なメッセージやタイミングを探ることで、少しずつ認知と関心を高めてきた。

SNS広告では特に、枠とコンテンツの掛け算で捉えなければならない。金氏は、インフルエンサー施策の難しさをこう語る。

「例えばインフルエンサーであるYouTuberとのタイアップを行う際、それぞれのインフルエンサーに適した発信内容や伝え方、つまりコンテクスト(文脈)があります。ファンが期待している独自の文脈に合致しないと、受け入れられないし数字も伸びないのです。

また、ショート動画がどこまで拡散するかはアルゴリズム次第で、誰にも正確には予測できない。だからこそ、私たちは過去データから『バイラルの下限』を算出し、リーチ不足分をデジタル広告でどう補完し組み合わせるかを推計します。広告、インフルエンサー、コンテンツ、データを統合的に設計し、実行まで落とし込めることが私たちの強みです」(金氏)

予算配分から見直す伴走パートナー

現在indiが手掛けるクライアントワークは、ゲームや食品・菓子、芸能・エンターテインメント、IT・ハードウェア、飲食・外食、海外エンターテインメントなどの領域で実績を持つ。そこで培った「広告をコンテンツ化しエンタメ性を持たせるスキル」を、メーカーをはじめとする一般的なブランドマーケティングの現場でも活用。小規模なプロジェクトから億単位のビジネス開発まで幅広く対応している。

「プロジェクトがうまくいっていないとき、WHO・WHAT・HOWのフレームワークで眺めれば、どこでエラーが起きているかが分かります。課題を特定し、本来あるべきアロケーション(予算配分)を提案して整えることで、前年比400〜500%の成果につながることも珍しくありません。私たちが大切にしているのは、クライアントの課題にシンクロして共に視る『共視』のパートナーシップです。『この予算であればこの施策をしましょう』ということだけではなく、『このブランド課題なら、こうアロケーションすべきだ』というスタンスで提案をしています」(金氏)

環境の変化に合わせて仮説を見直し、戦略に立ち返って修正する機動力は、同社が「面白いに、道しるべを。」というスローガンのもと、自ら事業運営を経験し、“お金を払いたいと思うくらい、心が動く体験”の試行錯誤を繰り返してきた背景に基づいている。

「SNSやデジタル広告、インフルエンサー施策などにとどまらず、上流のマーケティング戦略に接続したアクションプランを提案する。だからこそ、広告代理店の方々からも『深くロジックを立ててくれるパートナー』としてリピートしていただいています。これからも、コンテンツの力を活かして新しい価値を創造し、戦略から実現までやり切る会社であり続けたいと考えています」(金氏)

お問い合わせ

株式会社 indi

パートナー担当 E-mail:solution-partner@indi.co.jp
広報担当 E-mail:pr@indi.co.jp
URL:https://indi.co.jp/

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