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コラム

最新米国小売業からプロモーションをハカる。

「リアル店舗は、オンライン・ショッピングにおける
ショールーム?」

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昨年2011年11月の米国の感謝祭(11月の第3木曜日)明けの月曜日のインターネットを通じた買い物の売上高が、前年比22%増の12億5100万ドル(約1000億円 1ドル=80円として)を記録したと米国調査会社コムスコアから発表されました。景気が悪い、極端な2極化社会(3人に1人が貧困層)と言われながらも、凄い伸びです。1日あたりのオンライン販売額としてこれまでの<最高額>を示しました。これが今後の買物やプロモーションに、どの様な影響を示すのか?また、遠く離れたこの日本でも、これからどうなのか?

今回は、「オンライン・ショッピングとリアル店舗における買物」をテーマにします。

「オンラインによる一人あたりの支出額」

感謝祭明けの月曜日=サイバーマンデー(電脳な月曜日)。感謝祭に店頭での買物で盛り上がった翌週月曜日のオンラインによる一人当たりの支出額は9%増の128.82ドル(約10000円)でした。買物から帰って来たら、今度は自宅や会社(?)のパソコンやタブレット端末の画面を見ながらのんびりと、じっくりと買物をするわけです。オンラインによる売上げは、ここ数年で急激に増えています。

2000年の年末の流通小売業におけるオンライン・ストアによる売上割合はわずか2%にすぎなかったのに、2011年の年末は8%にも増えています。(米国の成人のスマホの普及率は約36%、また、タブレットの普及率は2010年感謝祭後のクリスマス商戦で倍増し、前年同時期の10%から19%になっています)なんだかここまで数字ばかり並びましたが…

「オンライン・ショッピングによるショールーム化」

スマホやタブレットなどの機能と、そこで紹介される商品情報や様々なサービスが充実してくると、買い物客の購買行動は店舗で商品を見て検討して、スマホなどで価格を比べ、より価格や条件の良い「オンライン・ストア」で買物をする」ことになります。

そう言えば米国の家電量販店(Best Buy 売上げが全米No1の家電量販店)や生活用品、スポーツ用品(SPORTS AUTHORITY)の売場で買物をしている最中に、スマホの画面を熱心に覗き込んだり、商品に付いたバーコードを読み取っている買物客、家族連れの姿を見かけました。

地元の親切な買物客(?)にタブレット端末の画面を目の前にして「ドジャースのグランドコートならこっちのストアの方がずっと安いぞ。」と勧められました。

「それはどうも」「そう言えば、NOMOは日本でどうしている?」と聞かれ、この人きっと「LAドジャース大好きか、野茂マニア」なんだと。

皆さん売場で検索して価格比較をしながらの買物。日本でも一部の商品でこの様に検索してオンラインで買物をしたり、お店を検索して買いまわったりと言う行動が見られる様になりました。価格比較のアプリの人気や利用が高まる訳ですね。

もちろん日米では店頭価格の考え方についての基本的な違いはあります。

「ショールーム化の歯止め策?他店と比べられない商品」

リアルな店舗での買物とオンラインによる買物は、価格面を徹底して比べることから、オンラインの方が選択をされる割合が高くなってしまいます。価格の安い食品・飲料などの商品カテゴリーや、家電製品や生活用品など多少の価格差によっては、リアルな店舗での買物を選ぶケースもありますが…

そこで米国では「他店と比べられない商品」(価格を比較されない商品)として、専売商品やオリジナル商品の強化を目指す流通小売業も現れて来ました。しかし、これでも価格の安くなったナショナル商品やブランドアイテムとの競争は、難しい面があります。

アマゾン「プライス・マッチ」vs 小売事業者経営者

沢山の商品がキレイに並ぶスポーツ用品(NIKE)の売場。

アパレルの店頭ディスプレイ。これらの 売場が文字通り『「ショールーム化』されることはリアルな売場を持つ小売業にとって大きな問題。

また、米国では昨年末にオンライン小売最大手「アマゾン」による、価格比較アプリ「プライス・マッチ」を使った展開が話題を集めました。スマホ向けの同アプリは、小売業が提示する価格とアマゾンでの価格を比較が出来て、歳末販促ではこのプライス・マッチを使い玩具と家電製品、スポーツ用品、音楽を購入すると、三つまで5ドルの値引き、最大15ドルの割引を受けられる企画を展開。しかし、これは買物客が実店舗で商品や価格を確認してアマゾンで購入することを意味する為、全米小売事業者経営者協会はこの販促手法に対して「リアルな店舗をショールームにして、来店客にオンライン購入させる不当な方法」と批判が上がりました。小売業にとっては長年、「良い品揃え」と「価格面の努力」と「買物客がお店に来る理由(わけ)やテーマの追求」が言われて来ましたが、こうした端末の利用や買物環境を考えたシステムの開発など、次の局面を捉える時期になりました。

次回のテーマは「米国でのスマートフォンのプロモーション活用(1)

倉林武也 「最新米国小売業からプロモーションをハカる」バックナンバー