コラム

最新米国小売業からプロモーションをハカる。

買物に本当に役立つアプリとは何か?

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スマートフォンのアプリが日々開発される中、買物の視点で捉えた時に、はたしてどんなアプリが商品やサービスの選択や決定の際に役立ち、また必要なのだろうか?米国では買物アプリについて売り場を使ってその効果をハカったり、日本でも販売促進の施策として取り組むケースが見られます。今回は買物に本当に役立つアプリをテーマにして考えます。

スマートフォンのアプリを開発する米国IBMリサーチは、AR(拡張現実)を使用した買物アプリをテストしていることを発表(今年8月中旬)しました。これは、買物客が自分のお気に入りの食品やモノに関するデータや、アトピーなどアレルギー反応する食品の成分などを、買物する際の基準として事前に登録しておくと、売り場でスマートフォンのカメラをかざすことで該当する商品をアイコンや画面上の図柄などで示してくれるというサービスです。

例えば「ノンアルコール」や「低カロリー」などを登録して酒売り場でスマートフォンを向けると、その商品がポップアップして見えます。同様に、「新商品」「お客さんからの高い評価」や「特売商品」「セット割引」などを登録をしておくと、該当する商品がアイコン等で強調されるというものです。

これによって、買物がしやすくなるとともに、「アレルギーなど健康面での安全基準」や「クロスMDといわれる関連商品を選ぶ際の便利さ」「その場で新しい、ユニークな情報に触れられる」など、多くのメリットが生まれます。商品のパッケージの裏面に書かれた小さな注意文字を気にせずに、成分のほかにも期限や産地についてもスマートフォンのカメラをかざすことで知ることができます。

日本でもここ数年、コンビニでAR機能を使って店舗にスマートフォンを向けるとお勧めのサービスや商品のアイコンが現れたり、ARコードを使って子どもたちに人気のキャラクターが立体になるコンテンツなどを提供して複数の店舗を巡る「ARラリー企画」の展開などが見られました。

AR機能を販売促進の目的に沿って活用するとできること

  • 価格や商品の特徴、新商品の情報などを強調してレコメンドできる
  • 選ぶ時の基準を反映、表現して商品を選び易くすることができる
  • クロスMD  関連する商品やサービスを示し、買物をサポートできる
  • 商品やサービスに関する情報や面白さなどを空間を用いても訴求できる
  • クーポンをはじめ買物のお得感を一緒に提供できる 

*その他、さまざまなメリットや期待値や新しい可能性をつくれる

日本でのスマートフォンの普及率が4人に1人まで増加。

こうしたテストや機能の活用による期待が高まる中で、日本のスマートフォンの普及に関する最新のデータから傾向をハカりたいと思います。

コムスコア・ジャパンより発表された内容によると、日本のスマートフォンの利用動向は4人に1人まで増加。また直近6カ月では約7%伸張し、一層拡大しているとのこと。

ただスマートフォンの先進国である英国やスペイン(50%超がスマートフォンユーザー)に比べると日本の普及は、ようやくその半分弱といったところ。また、これらは全体の数値「平均」であって買物環境(販売チャネルごと)のお客さんの層についても捉える必要があります。

つまり、百貨店やスーパーやコンビニやCDショップやファッションブランドショップなど、それぞれの買物客の主な年齢層の違いをプランを考える際に捉え「今何を行い、今後や次のステップではどうするか」を明確にして計画に取り組むことが大切です。

最後に「買物に役立つアプリ」としてこの夏から商品カタログを媒介にして取り組んでいるプロモーションと、ファンをつくる視点で街頭ポスターを媒介にして取り組んでいるプロモーションを2つ紹介します。

商品情報をAR機能で分かりやすく。


前回のコラム(O2Oを生活者・買い物客の視点でハカる)で紹介したIKEAのプロモーションを街頭で見た際に、サンプリングでフライヤーとカタログを貰いました。

部屋づくりのアイデアに出合えるIKEAカタログとして、スマートフォンで専用アプリをダウンロードしてページにかざすと動画などのコンテンツを見ることができます。アプリはAndroid用とios用があります。スマートフォンのマークが表示されているページに端末をかざすと、「こんな商品があると暮らしが楽しくなりそう」「家族の会話が弾みそう」といったことがイメージができる画面(動画やスライド・ショット)が広がります。

コンテンツをAR機能で更に魅力的に。


また、もうひとつは日本プロ野球の千葉ロッテ・マリーンズが今年9月からの公式戦の予定を掲載した「選手が飛び出してメッセージを伝えるポスター」。ARアプリを起動してカメラをかざすと千葉ロッテの今江選手の立体画像が飛び出して限定のコメント(約15秒)を聞くことができます。千葉ロッテマリーンズ/広報グループによると、「今回はシンプルに選手のコメントだけでしたが、これに選手のプレー映像をつけるなど、さらに映像強化をしていこうと思っています。ポスターに付加価値をつけたことで、新しい魅力が伝わりました」とのこと。多くのファンがポスターの前で足を止めて、スマートフォンを手に喜ぶ姿を見かけました。

買物に役立つアプリについては、これからも技術の進歩とさまざまな視点から開発がされて行くと思います。その際に商品自体やサービスの特徴が活かせる「モノ軸」と、そのアプリの役割が新しい場面やシーンを生む「コト軸」を整理をしながら、最大の効果を考えて進めることが、買物客にとって本当に役立つアプリとして評価がされると思います。そして運営における費用対効果については、中期的な計画でその評価や判断が重要になります。

倉林武也 「最新米国小売業からプロモーションをハカる」バックナンバー

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