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電通「日本の広告費」調査担当者が語る――「インターネット広告媒体費」の分類はなぜ変わったのか

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電通が21日に発表した2012年の「日本の広告費」について、同日午後に電通社内で説明会が開催された。調査の詳細は既出のとおりで、「5年ぶりに総広告費が増加(3.2%増)」「マスコミ四媒体広告費は前年超え」「衛星メディア関連が前年に続き2ケタ増」「インターネット広告媒体費の小分類として『運用型広告』を導入」といったトピックがあがっているが、その詳細について記者からの質問に対する回答をレポートする。

なお回答については、いずれも「日本の広告費」の調査を担う電通総研の担当者らによるもの。

Q、テレビ・新聞ともに前年を上回ったが(それぞれ3.0%増、4.2%増)、中央とローカルでの違いは見られたか。また、ソーシャルメディアとの連動の試みも増えているが、影響はあるのか。

東日本大震災の影響で東北地方が伸び悩むなど、やはり地域による違いは両媒体とも見られる。全体的に西日本の方が好調だった。新聞については東京や福岡が伸びている。一方、北海道のように新聞は伸び悩んでいるものの、テレビが堅調に伸びているケースもある。ソーシャルメディアとの連動は確かに試験的な取り組みが増えているが、広告に大きな影響があるわけではない。

Q、衛星メディア関連が好調だが(13.7%増)、通販だけでなくナショナルクライアントからの出稿はどの程度増えているのか。また、雑誌の場合はどうか。

詳細は説明できないが、確かにナショナルクライアントからの出稿は増えている。特にキー局が運営しているBS放送においてその傾向は顕著。ただ、それも局によって異なるし、雑誌も読者ターゲットによって異なるので一概には言えない。

Q、インターネット広告媒体費における「モバイル広告」「検索連動広告」という分類を廃止し、「運用型広告」という小分類を設けたが、どのような経緯で定めたか。

アドテクノロジーを活用した広告手法として「運用型広告」というワードが業界内で定着しており、運用している主要各社へのヒアリング内容も加味して適切であると判断した。特にモバイル広告については、タブレットが多数登場しておりPCかモバイルかといった区分が難しくなっている状況がある。なお運用型広告費については、前年比18.9%増の3391億円となっており、2013年も成長が続くと見られる。

Q、インターネット広告については堅調とはいえ(7.7%増)、伸びがやや鈍化している状況もある。

2011年にフィーチャーフォン広告市場が大幅に縮小し、2012年はその減少幅は一段落した。公式に出している数字ではないが、フィーチャーフォン広告の規模は一時期の6分の1程度と見て良いだろう。2013年は運用型広告が当面伸びると見ているが、一方でスマートフォン広告の場合はほとんどがアドネットワークによる配信であり、広告単価が安いという状況も伸びが鈍化する要因となっている。

Q、「ステマ問題」などは、インターネット広告費の伸びに影響しているのか。

大きな影響はないと見て良い。

Q、「プロモーションメディア広告費」については、全体で1.4%増(2兆1424億円)だが、中でも「展示・映像他」の区分が8.3%と比較的良い数字が出ているが。

「展示・映像他」はイベントや展示会における映像の制作費や上映費を含めたものであり、活用するケースは増えている。話題のプロジェクションマッピングももちろん対象となるが、東京駅で実施されたイベントのように、話題を集めたケースが調査対象として含まれているかどうかまではわからない。

Q、2013年の広告費の予測は。

「日本の広告費」としては公式な見解は出していないが、日経広告研究所では広告費全体で3.4%増(2013年度)、またテレビに限っては民放連研究所の発表で1.7%増(スポット2.6%増、タイム0.6%増)という予測も出ている。参院選や世界陸上、モーターショーもあるのでこれらが好影響を与えるのを期待したい。また、一時はネット広告への移行がマス広告に影響を及ぼすと語られがちであったが、決してそうではない。今は広告主も各媒体の強みや弱み、自社の事業や商品との適性を見極めてメディアを使い分ける企業が増えているように思う。同時に、広告費はGDPや企業の経常利益とも連動しており、近年は国内総生産に対する総広告費の比率は1.2%前後で推移している(2012年は1.24%、前年比0.03%増)。