新聞社のあらゆるリソースを生かす
新潟日報が2012年11月3日の「文化の日」に発行した特集「漫画家が描くふるさと新潟」は、同社の創立70周年を記念して実施したもの。『あぶさん』『ドカベン』の水島新司や『うる星やつら』で知られる高橋留美子など、新潟県出身の著名漫画家とタイアップして代表作のキャラクターを起用し、協賛社の広告を制作した。
全20ページの別刷り紙面に、新潟市やトーヨータイヤジャパン、Jオイルミルズ、新潟本社でCD・DVDレンタル店などを運営するトップカルチャーらが広告を掲載した。新聞発行前はテレビCMや新聞広告で発行を告知し、別刷り紙面は新潟県内や首都圏の書店にも設置した。企画にあたっては、「マンガの力によって新潟県を活気づけたい」(新潟日報社)との思いがあったという。
こうしたその土地に根差した新聞社ならではのコンテンツ開発力やキャスティング力を活用できることも新聞広告の大きなメリットと言える。今年度の「新聞広告大賞」に輝いたサントリーホールディングス「金麦」の広告展開も地方新聞社の企画制作力を生かしたもの。桜の名所や郷土料理など各地の風物詩を新聞社の企画制作で紹介し、サントリー制作の純広告と合わせて全国のブロック紙・地方紙35紙で展開した。
味の素もご当地レシピを共通テーマにした企画広告を全国各地の地方紙とタイアップして制作・展開している。各地の地元キャスターや著名人などを各地方紙がそれぞれキャスティングし、それらを全国キャンペーンとして展開するなどの事例も見られる。
新聞社は各社とも事業部門を持ち、公共性・文化性の高いイベントを企画している。また独自の進化を遂げるデジタル版や、販売店網を生かしたサンプリングなどの展開など、新聞社の総合力を引き出した施策の事例が徐々に広がりつつある。東日本大震災からの復興や飲酒事故の撲滅など、社会性の高いテーマで広告企画を実施できるのも新聞社ならではの強みを生かした試みと言える。広告主の課題と各社のリソースのマッチングが試される機会が増えそうだ。
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「新聞広告の価値 再発見」バックナンバー
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