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コラム

編集会議コラム〜コンテンツの裏側潜入!〜

人の縁で情報が集まる関西のライターは元気です!

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松田きこ(ウエストプラン)

ライター仲間と居酒屋のカウンターで飲んでいると、常連らしい男性が話しかけてきました。私たちの会話から取材帰りだとわかったようで、
「大阪でライターで食べていくのは大変やろ」
かなり唐突です。
「どうやって仕事をとってんのん?」
「ギャラはどのくらいなん?」
飲み屋での話ですからいいんですが、時々同じような質問を受けることがあります。大阪といわず関西のライター、みんな頑張ってるのになぁ…。

書くことが仕事になって20年以上が経ちました。紙媒体の編集部で、ライター・編集・営業に走り続け、そして転職。大阪のお笑いの企業の新規プロジェクトでした。もちろん芸はできません、企画等の事務方としての仕事です。でも、ここでライターという経歴が生きました。広告出稿でも、プレスリリースでも「書けるなら書いといて」となり、そのうち外部から依頼が来るようになり、気付けばオフの時間はほとんどフリーライターの案件で埋まっていました。

実際に足を運んで感じることを伝える

勝谷誠彦の知られてたまるか!

そして独立。仕事はけっこう忙しかったのですが、飲み仲間だった出版社の社長に、
「暇やろ、手伝って」
と決めつけられて、『勝谷誠彦の知られてたまるか!』(西日本出版社)を任されました。テレビ番組のグルメコーナーの書籍版です。この本は関西圏では異例のヒットで3万部売れました。ランチタイムに本町を歩くビジネスマンの手元にあるのを見、取材した店で反響を聞き、人に伝えることの面白さを改めて実感したのです。
なにより食と酒について、勝谷誠彦さんの深い知識に触れたことがこのあとの仕事に生きました。現場の空気を知ることが大事、という大義名分のもと、テレビのロケに毎回同行して、撮影する料理を食べて、お酒まで味見したのですから。

縁がつながるときは、とりあえず進んでみる

丹波篠山の何気ない自然の美しさ

ある日の午後、南大阪の郊外で取材中に携帯が鳴りました。
「今夜篠山市である会議に出てほしい」
篠山市といえば兵庫県の真ん中くらい、遠い・・・。渋滞で2時間以上かかって会議室に飛び込むと、西日本出版社の社長がいました。
「制作中のガイドブックが行き詰ってんねん、手伝えるやろ」
普通に考えたら無理な話でしたが、これもチャンスかもしれないと引き受けて、紆余曲折艱難至極の末、完成させました。このあと、篠山がらみの取材依頼が立て続けに来て、ネットワークが広がったのです。

取材が縁で仲良くなった篠山の友人と大阪・北新地で飲んでいるとき、
「祭りで子どもが喜ぶようなイベントをやりたいな」
と枝豆を食べながら友人がつぶやきました。
「この皮、投げたら飛ぶのかな…」
実験してみると、案外飛ばない。
ひらめきました。丹波篠山の名産品「黒枝豆」を使った、名付けて「黒枝豆さや投げコンテスト」。黒枝豆を食べて、その皮を投げて飛距離を競うもので、これが大盛況!お米や丹波篠山牛という豪華賞品が出て、1位はなんと20メートル越えです。

気持ちが入っているから情報が生きる

くるり丹波・篠山

まるで遊んでいるような取材活動ですが、楽しんで気持ちが入り込んでいるから情報が生きてくるんですね。
2012年、『くるり丹波・篠山』(西日本出版社)発売。これも売れました。兵庫県の丹波市と篠山市、ひとまとめに丹波と呼ばれるエリアですが、それぞれの町には個性があり、歴史があります。店や見どころ、掲載件数は200件以上になりました。

そしてこの9月、『くるり丹波・篠山』改定版が完成します。京都丹波を新たに加えて400件弱の情報を掲載。女性スタッフが一人で町を歩き、カフェに入り、飲み屋を訪ね、地元の人と話しました。単なる一人旅じゃないかと言われそうですが、ロケハンです。

丹波篠山の旬の味を紹介

『くるり』シリーズは他エリアでも展開しており、兵庫県三田市の情報誌「シフォン」が編集した宝塚版も同時発売。2年前、私たちの『くるり丹波・篠山』とシフォンの『くるり三田』の完成打ち上げを有馬温泉の高級旅館で出版社が開催してくれました。
スタッフ一同、温泉で美肌に磨きをかけ、美味しい料理とワインに酔った勢いで、「次も作るぞー!」と決まったのが今回の2冊。『くるり丹波・篠山+福知山・綾部・京丹波・南丹』と『くるり宝塚・川西+能勢・猪名川』。タイトルが長くてすみません。
次の合同打ち上げでは何を食べさせてくれるんでしょう。旅館がグレードアップしたら、また新企画が動くかもしれません。

居酒屋で出会ったおじさんへ、関西のライター、編集者はとっても元気ですよ。

松田きこ

松田きこ(Kiko Matsuda)
ウエストプラン
「くるり丹波・篠山」編集長
http://www.west-plan.com/
メーカー、総合商社のOL時代に社内報に関わったことから書くことに興味をもち、地域情報誌に就職。1999年転職。吉本興業のクリエイター養成塾の開業から運営に携わる。2007年独立。ライターとしてメディアに執筆するとともに、編集プロダクションとして書籍、広報誌、ウエブサイトなどを制作。阪神間の情報にも強く、地域情報誌やケーブルテレビで情報発信。著書に「阪神間とっても上等なランチ」(メイツ出版)などがある。お酒大好き、美味しいものを食べるのも作るのも大好き、立ち飲みから豪華客船ディナーまで、バブル時代を知る女性ならではの目線で活動中。
editor

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