Hakuhodo DY ONEが描く次世代クリエイティブの現在地 デジタルネイティブと統合発想で切り拓く

「博報堂DYグループのデジタルコア」を掲げるHakuhodo DY ONEが、デジタルエージェンシーの新たなクリエイティブのあり方を模索している。獲得、SNS、動画、AIを横断しながら、新しい広告の形を探る——けん引するのはデジタルネイティブ世代だ。局長として現場を率いる尾崎咲美氏、米田雄史氏、吉田真央氏、松尾良馬氏と、同社のソリューション領域を担当する常務執行役員の二見均氏に聞いた。

リードするのはデジタルネイティブ世代

二見:Hakuhodo DY ONEが誕生して2年が経ちます。私たちは設立当初から、次世代型デジタルエージェンシーならではの「クリエイティブ」のあり方を模索し、定義そのものをアップデートしようと取り組んできました。総合広告会社のいわゆるマスクリエイティブ中心モデルでも、デジタル専業エージェンシーの運用広告特化型モデルでもない。私たちが提示すべきは、デジタルを起点とした「ネクスト・エージェンシー・クリエイティブ」の姿です。

今の当社のクリエイティブ人員は300人規模。それらをけん引している「デジタルネイティブ」な局長たちの一部が本日集まりました。彼ら、彼女らが今、何を提供価値としてクライアント企業に提供しようとしているのか。その本質を紐解いていきます。

獲得の精度を「感情」でブーストする

二見:尾崎さんは、もともと運用広告の最前線に立ち、戦略から獲得クリエイティブまでを一貫した視点で捉えてきました。その中で生まれたのが「ATA(Attention to Action)」というフレームワークですね。

尾崎:運用プラットフォームのAI化・自動化が進む中、純粋なメディア運用だけで差別化するのは難しくなっています。だからこそ、成果を左右するレバーとしてのクリエイティブが重要になる。ATAは、行動を促すCTA(Call to Action)の前段階で、生活者の欲求やインサイトに働きかける発想です。

Hakuhodo DY ONE プランニング本部 ATAクリエイティブ推進局長 尾崎咲美 氏

二見:獲得のプロフェッショナルだからこそ、獲得領域から逆上がりしてその手前のファネルとなる認知や態度変容の精度を上げていけるわけですね。

尾崎:長年培ってきたブランドビルディングの知見と、私たちの成果への執着を融合させるイメージです。数字の裏側にある「なぜ動いたのか」という心理的文脈を深掘りし、ファネルを分断させず、ミドル層の態度変容をアクションにつなげる。これが、デジタルエージェンシーが担う新しい獲得の形だと考えています。

アルゴリズムを取り込む「界隈マーケティング」

二見:生活者がクライアント企業からの広告文脈やメッセージをどう受け止めるか。その「受容性」を、プラットフォームの構造から最適化させているのが米田さんですね。

米田:動画クリエイティブの役割は大きく変化しています。かつての「フォロー型」から、今の「アルゴリズムによるレコメンド型」へと構造が変わり、コンテンツは自発的に広がるというより、アルゴリズムに選ばれるものになりました。

Hakuhodo DY ONE クリエイティブ本部 第一クリエイティブ局長 米田雄史 氏

二見:その“仕組み”をうまく取り込んでいるのが「界隈マーケティング」だと。

米田:その通りです。どれだけ良い動画でも、プラットフォームの構造やアルゴリズムを踏まえて設計しないと、十分に届かない可能性があります。私たちは、「界隈」の中で何が受け入れられ、どう広がるのかを、メンバーの感覚やリサーチも交えながら見極めています。

二見:従来のテレビCMのプランニングとは、設計思想が異なりますよね。

米田:プラットフォームのUIや視聴態度に最適化した動画設計を行い、かつ運用広告のDNAである「最終的な獲得」へつなげる。単に動画をつくるだけでなく、それを起点に、時系列でどう熱量を高めていくかまで設計することが重要です。

世の中の空気感を読み解き「鮮度」を見抜く

二見:SNSなどもタッチポイントとして積極的に組み込み。そこでの生活者のコンテクスト(文脈)を編み込んでいく吉田さんのコミュニケーションデザインスキルも重要です。

吉田:私はメディア寄りの現場からキャリアを始めました。その中で感じてきたのは、SNSが単なる媒体ではなく、生活者の熱量や文脈がそのまま現れる生活圏になっているということです。そんな日常の場に広告としてブランドが唐突に介入すれば、拒絶反応を招くこともあります。

Hakuhodo DY ONE クリエイティブ本部 第二クリエイティブ局長 吉田真央 氏

二見:だからこそ、生活者の文脈を丁寧に編み込む必要があるわけですね。

吉田:広告として押し込むのではなく、いまその人たちが何に熱狂して、どこに熱量が向いているのかを読むことが大事です。デジタルネイティブな感性が鋭いスタッフたちは、自分自身のタイムラインの熱量をベースに、その変化を素早く感知します。

米田:吉田さんのチームの、キャスティングやIP活用に対する「予測精度」は際立っていますよね。

吉田:今はネットで生まれた熱狂がマスへ波及していく構造が定着しています。私たちはその予兆を捉え、先手を打つスピード感で企画を仕掛けていきます。その「鮮度」は常に気にしていますね。ただ、届ける際に作り手の熱量が低ければちゃんとバレます。そんな世の中の反応が目に見える時代だからこそ、企画の解像度や深度が、今のクリエイティブには不可欠です。

AI×クリエイティブには可能性しかない

二見:そして、これらすべての制作プロセスをAIテクノロジーで革新しようとしているのが松尾さんです。

松尾:私は「クリエイティブの生産プロセス自体をデザインする」という視点で活動しています。現在取り組んでいるのは、AIをクリエイティブワークフローの中核に据えた「AI Experts ULTIMA(ウルティマ)」プロジェクトです。

Hakuhodo DY ONE クリエイティブ本部 第三クリエイティブ局長 松尾良馬 氏

二見:AIを効率化のためにではなく、クリエイティビティの拡張技術として捉えているわけですね。

松尾:はい。AIは制作プロセスを抜本的に変える可能性があります。例えば、これまでのコピーライターとアートディレクターが2人1組で案件に取り組むことがあったりしました。しかし今後は、AIを理解して企画するプランナーとAIディレクターが組むような、新しいチームの形が生まれ始めています。さらに、AIはアウトプットだけではなく、プランニングにも活用する事例が増えています。AIを用いて仮想ペルソナを生成し議論をシミュレートしたり、撮影不可能な概念的ビジュアルを生成したりすることもできます。

尾崎:制作の速度だけでなく、発想の幅も広がっていますよね。

松尾:AIの活用先は映像に限りません。体験であったり、プロダクト開発だったり、クライアントアセットの活用であったり、クリエイティブ領域においては未だ多分な可能性を秘めています。その際、広告会社のクリエイティブとして大切なのは、AIの応用の仕方を理解した上で、どう企画に昇華するか、ということかと思います。そういった想いを込めて、我々「ULTIMA」はAI Experts という屋号を据えました。

AIの応用の仕方を試行錯誤しつつ、世の中を驚かせる面白いことにチャレンジし続けています。

ロールモデルなき時代の「プロフェッショナル主義」

二見:4人の話を通して見えてきたのは、Hakuhodo DY ONEのクリエイティブが、戦略だけで終わらず、実装や運用まで見据えているということです。

Hakuhodo DY ONE 常務執行役員 二見均 氏

米田:今の環境にぴったり当てはまる前例が多いわけではないので、自分たちで試行錯誤しながら形にしていく感覚があります。

二見:こういった環境の中、マネジメントのあり方も変化しつつあります。彼ら彼女らひとりひとりの専門性や個性をうまくつないで、全体として大きな調和をつくり、大きな共鳴になるように後方支援することが重要。それが大きな成果レバレッジを生み出すコツだと思っています。

吉田:変化を恐れず、常に市場の動きを見て進化していく姿勢ですね。

二見:デジタルネイティブな感性、最先端のテクノロジー、供給できる多様な手口、そしてアウトプットや成果への執着。これらを高次元のコミュニケーションシナリオで統合し、クライアントの真のパートナーとして事業成長を支援する。Hakuhodo DY ONEが提示する「次世代クリエイティブ」は、広告の可能性をさらに広げていくはずです。

お問い合わせ

株式会社Hakuhodo DY ONE

住所:〒107-6316 東京都港区赤坂5丁目3-1 赤坂Bizタワー
URL:https://www.hakuhodody-one.co.jp/
お問い合わせフォーム:https://form.hakuhodody-one.co.jp/contact-c
ONEDER:https://oneder.hakuhodody-one.co.jp/

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