競技用車いすのトップブランドの着眼点

オートバイ販売から車いすメーカーへ

競技用車いすの分野では高い知名度を誇るオーエックスエンジニアリング。創業当初はオートバイの販売店だった。同社が車いすを製作・販売するようになったのは、当時の社長である故・石井重行氏が、オートバイ事故で脊髄を損傷し、車いすを必要とするようになったことがきっかけ。既存の車いすでは満足できず、個人プロジェクトとして車いすを開発。93年から本格的に車いす市場に参入した。現社長の石井勝之氏は、創業者である父の志を引き継ぎ、社長就任以来、事業をさらに成長させてきた。同社の車いすを使った選手は、これまでに7度のパラリンピック大会(アトランタ・長野・シドニー・アテネ・北京・ロンドン・ソチ)で合計106個のメダルを獲得している。

今年はブラジル・リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピックが開催、また国内では2020年の東京大会に向けた動きが、社会的、経済的に話題となることが多くなり、スポーツへの関心はますます高まっている。

千葉市に本社を置くオーエックスエンジニアリングは、競技用車いすの開発・販売で、多くのアスリートから高い支持を得ている企業だ。特に、競技人口の多いテニスやバスケットにおいては、同社の競技用車いすのシェアは約8割にも達する。

1976年創業の同社は、もともとオートバイの販売店だった。創業者でもあった当時の社長、故・石井重行氏は、販売店を経営するかたわら、モーターサイクルレースのライダーやジャーナリストとしても活躍していた。ところが84年、新型オートバイの試乗中に不慮の事故で脊髄を損傷。車いすを必要とする身体障がいを負った。

既存のオーダーメード車いすを何台も使用したが、機能やデザインに飽き足らず、個人的なプロジェクトとして車いすの製造に着手。その後、改良を重ね、93年から本格的に車いす市場に参入した。

現在の代表取締役社長 石井勝之氏は「当社は車いす市場においては後発企業。先行企業の商品の中で、自社の商品を効果的に認知してもらうために考えたのがアスリート用車いすの開発でした」と話す。

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