戦略的な発想、コピーで表現
東京コピーライターズクラブ(TCC)は10月29日、2010年度「TCC賞」の授賞式を都内で開催した。TCCグランプリを受賞した仲畑貴志氏(ナカハタ)や最高新人賞の小野麻利江氏(電通)が壇上に立ち、それぞれ受賞のよろこびを述べた。
グランプリに輝いたのは、アデランスホールディングス(現ユニヘアー)の男性用かつら「アデランスRF-1」のテレビCM。「アデランスは誰でしょう?」をキャッチフレーズに、3人の俳優・タレントの中から同社のかつら着用者1人を当ててもらう企画で、オンエア後にWebサイトへのアクセスが集中した。ユニヘアーの平原裕治・執行役員マーケティング本部長によると、制作にあたっての同社のオリエンテーションは、「薄毛に悩む男性にとって、ポジティブな印象を与えるもの」だったという。平原氏は「案を見た時も度肝を抜かれたが、ホームページがパンク寸前になったのはこれまでなかったこと。戦略的な発想の重要性を実感した」と仲畑氏の功績をたたえた。仲畑氏は、「佐々木宏さんに『いい仕事をしろ』と発破をかけられて奮起した。70歳になってもグランプリを取れるように頑張る」と話し、会場を沸かせた。
潮出版社「三国志」などの広告で最高新人賞に輝いた小野氏は、「勇気を出すことが大事だと実感した。以前は才能のある人が良い仕事をしていると思っていたが、必ずしもそうとは限らない」と振り返った。 このほど発表された「TCCホール・オブ・フェイム(名誉殿堂)」の顕彰式もあわせて開かれ、朝倉勇氏、赤井恒和氏(故人)の功績をたたえた。また式の冒頭には、森永製菓でコピーライターとして活躍し、4月に死去した黒須田伸次郎氏に黙とうを捧げた。 会場では、2010年度TCC賞作品を収めた「コピー年鑑」の展示・販売も行われ、ブースは多くの人でにぎわった。全国の書店でも10月29日から店頭に並んでいる。
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