脱マス思考のターゲット視点
マーケティングコミュニケーションを進める上で、最初に行われる作業の一つはどういったターゲットを対象にするかを設定することにある。従来的なやり方・発想としては、年齢・性別・所得などのデモグラフィック(人口統計学的)、行動・価値観・購買動機・商品やサービスの使用程度による分類であるサイコグラフィック(購買者の心理的要因)を切り口として「セグメント(分類)」されてきた。
これらの分類は「全体」から「部分」をマーケター側が「勝手に」区切ったものであって、マーケティングコミュニケーションの対象としては「それぞれの点(=人)」となる。一方、インターネットがもたらした人々の「つながり」はマーケターによってそのような集まりをセグメンテーションされたものではなく、自発的に構成された「コネクション(接続関係)」によるものだ。
この「コネクション」によって構成される人間関係を「トライブ tribe(種族・共通の趣味や属性をもった仲間)」と呼ぶ(※ちなみに米広告大手DDBワールドワイドのインタラクティブ広告部門はTribal(トライバル)DDBで2001年に設立。先見の明)。インターネットは本来的に「inter-」という接頭語が示すように相互のつながりを特性としてもっており、昨今バブルな様相を見せているソーシャルメディアブーム以前から、コネクションによるトライブ形成を後押ししてきた。