想定していなかったキャリアパス
この連載も残すところあと3回なので、少し自分自身の経験談を入れながら話を進めていこうかと思う。期せずしてレジュメ的には「綺麗な」キャリアパスになってしまったので、人によっては「自慢かよ」と解釈されてしまうかもしれないが、その意図はないことを記しておきます。とりわけグーグルという会社が広告ビジネスの世界でどのようにユニークなのかを語るには、自分自身の経験とそこから生まれた考察を踏まえずには本質的な部分に触れることができないので。
さて、僕は、営業職やインタラクティブ企画職としての博報堂と電通の勤務を経て2005年、グーグルに入社した。しかしグーグルに入るために電通を退職しようとしたわけではない、実は。退職事由は、コミュニケーションデザイン(当時は「コミュニケーションプラン」よりこちらを好んで使っていた)を行うためのブティック設立ないしはフリーランスで活動しようと思っていたからだった。もちろん、退職に動き始めた2005年当時から、グーグルはネットユーザーの中では先端的で正確な「検索エンジン」として認知され始めていたが、「広告ビジネス」の企業として理解する人は非常に少なかったし、「ぐーぐる」とちゃんと聞き取ってくれる人も一般的には少なかった。そしてユーザーではあったし自分のブログでもよく触れていたが、自分自身が二つの代理店を経て、次のキャリアとして選ぶということについては想定外だった。