「実名主義」あらためて打ち出す
8日から9日にかけて、ツイッターのタイムラインをにぎわせていた話題に“春の垢(あか)BAN祭り”というものがあった。これはフェースブックがユーザーのアカウント(アカウントの隠語で“垢”)を突然閉鎖(英語で“BAN”)する行為を一斉に行ったからのようだ。
アカウントをロックされたあるユーザーは、「いつものようにフェースブックを開くと『アカウントが停止されています』と表示されていた」というのである。アカウントが停止される前に警告のメールはなかったという。フォームから実名を入力するなどの手続き行ってから、半日後にアカウントが復活したそうだ。
2月10日現在の利用規約には「Facebookでは、ユーザーの皆様に実名および実在の情報を提供していただいています」と書かれており、「アカウントが弊社によって停止された場合、弊社の許可なく新たなアカウントを作成することはできません」とも書かれている。
筆者は以前のコラム「『ソーシャルメディア文化』めぐる日米の違い」の中で書いたように、日本人は「匿名」のような間接表現を好むと思っている。そして「フェースブック、日本では携帯電話との競争に」の中で、本名を公開することに日本人の90%近くの人に抵抗感があるのという調査を紹介した。つまり、日本ではかなり多くのユーザーが実名以外で登録している(いた)と考えられるのである。ツイッターなどの書き込みでは、自分も偽名で登録しているが、アカウントが停止されていないといった書き込みも散見される。
ポリシーの柔軟な運用を期待
過去にさかのぼると、偽名以外でアカウントを停止されたユーザーもいるようである。国際交流団体のOBアカウントを運営していたユーザーは、数多くの人に参加呼びかけをしていたため、数回警告を受けたあと、「パワーハラスメントを受けた」という苦情が入ったということでアカウントが閉鎖され、数千人に及ぶ参加者の情報が一瞬にしてなくなったと言っている。また別のユーザーはまったく身に覚えがないのに突然アカウントが閉鎖され、よく使うメールアドレスを登録していたため、後日新しくアカウントを作った後にそのメールアドレスが使えなくなり大変不便な思いをしているということである。
いまや社会のインフラになりつつあるソーシャル・ネットワークが真に根付くためには、このような問題をクリアしていかねばならないだろう。今後、ポリシーの明確化やアカウントを停止する前に猶予期間を設けるなどの処置を考えてはいかがだろう?
江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- ソーシャル・ネットワークで悪用されないために(2/9)
- 実施していますか? インターネット施策の成功の秘訣「ABテスト」(2/2)
- 創業者支える「経営のプロ」の存在――米IT企業の役割分担(1/26)
- 「タイガーマスク運動」を加速させたWebの影響力(1/19)
- 「前払いクーポン割引サービス」の“おせち事件”を繰り返さないために(1/12)
- 「前払いクーポン割引サービス」で“おせち事件”はなぜ起こったのか(1/5)
- クーポン共同購入サービスが流行する理由:2(12/22)
- クーポン共同購入サービスが流行する理由:1(12/15)
- マルチタスキング、仕事も生き方も(12/8)
もっと読む
「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- すべてのマーケティングがサブスクリプション化する?~マーケティング協会のイベントで感じたこと~(2018/5/11)
- 高付加価値経済の実現のために、なぜ賃上げが有効なのか(2018/4/23)
- デジタルテクノロジー/マーケティングの進化で実現するシェアリングと所有の二極化経済(2018/3/13)
- 2018年の日本はデジタルテクノロジー・マーケティングの進化により、ようやく適正価格の高付加価値エコノミーに進化する(2018/1/26)
- ピザ生産遅延、無料クーポン行列、集配遅延はなぜ起きたのか?(2016/12/26)
- まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由(2016/12/01)
- AI(人工知能)は人類を超えるのか?(2016/7/20)
- カンヌ・サイバー部門総括「社会派の作品はチタニウムに集約へ」(2016/6/24)
新着CM
-
AD
宣伝会議
味の素、パルコなど登壇。マーケティングの最新情報をお届けします。
-
クリエイティブ
マクドナルドのSNS施策「#シズル文學」で食欲を刺激 ナレーションは津田健次郎
-
クリエイティブ
YouTube Works award Japan 2023 グランプリは「『電...
-
AD
マーケティング
能力やセンスを活かした商品開発に、「思考の引き出し」を広げる取り組みを実施
-
コラム
バラエティ番組の「号泣事件」で自分らしさを考えた(勝地涼)【後編】
-
広告ビジネス・メディア
交通広告に接触した人数の計測手法定める「メジャメントガイドライン」第2版が公開
-
AD
特集
デジタルで、この国の新しい基本をつくる。―オプト―
-
人事・人物
【人事】電通(23年7月1日付、8月1日付)
-
人事・人物
PARTYの中村洋基氏がFIELD MANAGEMENT EXPANDに参画