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コラム

CSR視点で広報を考える

世界の政治的均衡に革新的変化をもたらすSNS

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情報伝達だけでなく民意形成の大きな力に

先週、情報やコミュニケーションにからんだ色々な事件が起きた。一番大きな事件はエジプトのムバラク大統領が12日辞任し、30年間続いていた独裁政権が終わったことだろう。今年1月14日にベンアリ大統領が国外に逃亡し、23年に及ぶ独裁政権が終わったチュニジアに続いてのことだった。

チュニジアで起きたことは、発生直後、中東地域における限定的な出来事と解釈され、エジプトでは軍部の力が強いため、独裁政権は崩壊しないとの大方の予測だった。しかし、軍部は民衆の味方だった。彼らもSNSを利用していた。

チュニジアではフェースブックとツイッターが民意形成に大きな影響を与えた。エジプトにおいてもこれらのSNSに加え、グーグル中東・北アフリカ幹部がネットで参加し、12万人が賛同を寄せるなどして国民の不満の大きな受け皿となった。

当初、一国のイレギュラーなケースと想定された独裁政権崩壊のシナリオは、エジプトの政権交代を成功させ、ヨルダン、イエメン、アルジェリア、シリア、サウジアラビアにまで拡大し、反政府デモの動きはSNSを通じてさらに活発化している。

エジプト暫定政権は既にこれまで通り、アメリカをはじめとした外交路線の維持を発表しているが、SNSでは反米を主張する人々が集まりつつある。民意形成を抑止できないのは、もはや独裁政権のみならず大国も同じ条件下に置かれている。

米運輸省はトヨタ車の不具合が指摘されていた電子制御システムの問題をめぐり、「欠陥はなかった」とする最終報告を発表し、米議会の当初の政治的動きにバッシングが集まっている。

この問題では、自動車=アメリカの威信という視点から日本を代表するトヨタをたたき、GMの早期再生などの裏のシナリオがあったとの憶測もあるが、当時ユーチューブにおいて日本VSアメリカという政治的構図が常に表面化しており、政府がこの問題を顕在化させる土壌ができていた。

動画サイトの威力はテレビで継続的に写しきれない公聴会の映像などを見事に視聴者に写し続け鮮明に印象づけた。見たい映像を見たいときに共有できるコミュニケーションツールの利用でトヨタは政治的風評に巻き込まれた、と見る考え方もある。

大相撲の八百長問題では、携帯電話のメールの内容が調査の要点になりつつある。水濡れや破損を理由に携帯電話の提出を拒んでいる力士もいるとの報道がなされている。

コミュニケーションツールが急速に発展したのはドコモのiモードからとされているが、まさに八百長問題についても、若い世代の台頭に伴い犯罪行動も複雑化する一方、相撲界という古い伝統的な世界にも情報伝達進化の時代は確実に訪れている。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー
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