震災後の情報リテラシーが向上した背景とその今後

広範に及ぶ災害がもたらした「共通体験」と「自分化」

先週のコラム

「震災後のネット利用拡大から見えてきた3つのトレンド」

に多くの反響をいただいた。寄せられたコメントを見ると、特に「情報リテラシーの向上」という部分に関して説明が足りなかったように感じるので、今回はそれを中心に説明を追加したい。まず「なぜ向上したか?」という背景について、そして「それが今後何をもたらすか」ということについて、それぞれ筆者の仮説を立てながら考えたいと思っている。

最初はなぜ情報リテラシーが向上したかであるが、いくつかの異なる要素が絡みながら作用したのではないかと考えている。一見、相反するように見えるが、大きく分けると「共通体験を自分化したこと」と「情報の個別化、不確実性」の2つにあるのではないかと考えている。

まず、今回の震災では今までの自然災害と比べより多くの人が共通体験をしたのではないだろうか。震災の揺れは震度1以上で見ると九州にまでも達し、その後の津波も沖縄や日本海側をも含む日本全国に及んだ。そして、テレビでは全国で通常番組やCMが一切流れない日が数日間続き、その後徐々に正常化していったがほとんどACのコマーシャルばかり流れるという現象が生じた。首都圏においてはほぼすべての人が交通の不便そして計画停電の影響を体験したと思われる。

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江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

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