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電通総研、「震災一ヵ月後の生活者意識」調査を発表

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63.3%の人が自粛、震災一カ月後の消費マインドは減速

3月11日(金)に発生した三陸沖を震源とする東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。加えて、一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。

東日本大震災は地震・津波による自然災害に加えて、原発や電力供給のトラブルを誘引し、日本社会、とりわけ東北・関東甲信越エリアに大きな衝撃を与え、未だ解消されていません。電通総研では、この大震災により生活意識や行動にどのような変化が表れているか検証する目的でアンケート調査を行いました。

支出・節約等の消費意識、震災により強まった欲求・消費行動、自粛意識や自粛解消のきっかけ、今後どう暮らしていきたいか、などを尋ねております。ご参考にしていただければ幸いです。

主な調査結果

消費気分指数:震災一カ月後は83.6ポイント。震災前(2011年3月)より6.0ポイント減少
2011年4月の消費気分指数は83.6 ポイント。調査を開始した2009年3月からは概ね上昇傾向が続いていたが、震災の影響により6.0 ポイント減少した。今のところ、昨年12月と同水準に踏みとどまっている。

消費気分指数

地域ごとに大きな格差。総じて、西高東低

消費マインド

全国7ブロックごとに比較すると、震災の直撃で大きな被害を受けた東北地方が最も低く、次いで関東甲信越、北海道が低め。

一方、中部以西の指数は明らかに高く、被災地からの地理的距離や直接的被災・後遺症の有無が、現時点での消費マインドに大きく影響していることがわかる。

今後の暮らし見通しは、晴れ予想が43.9%、曇り予想が30.4%、雨予想が25.8%

今後3 カ月後までの暮らしを天気でたとえてもらったところ、「晴れ」が43.9%、「曇り」が30.4%、「雨」が25.8%となった。「晴れ」予報が最も多いものの、震災前と比較すると「晴れ」が17.1%減少し、「曇り」が9.7%増加、「雨」が7.4%増加し、今後の暮らし向きの予想はやや悪化している。

何かを自粛している63.6%。年齢が上がるほど、また男性より女性の方が自粛意識が強い。地域別では東北・関東甲信越の自粛ムードが強い

何らかを自主的に控えている・自粛していると回答した人は63.6%。年齢層が上がるほど自粛している人は増加し、20代は56.2%に対して60代は72.1%だった。また、男性は55.0%に対して女性は71.7%と自粛意識が強いことがわかった。

また、地域別では東北エリアで79.5%、関東甲信越エリアでは70.4%と高く、大震災の直接的影響度が自粛ムードを高めているようだ。

震災をきっかけに当面、購入を控えている・自粛しているものとしては、「旅行・宿泊」31.4%が最も多く、次いで「光熱・水道費」26.7%、「ファッション・アクセサリー」26.3%

年代別自粛意識

自粛層では消費マインドが大きく低下

自粛層では消費気分指数が77.5ポイントに対して非自粛層では94.2ポイント。非自粛層の消費気分指数は震災前の89.6を大きく上回っており、自粛意識が消費マインドを抑制している構図が鮮明となった。

自粛意識と消費マイン

自粛理由は「先行きが不透明」「なんとなく」「被災者に遠慮」「余震恐怖」が目立つ

自粛の理由として最も高かったのが「先行きが不透明で今は無駄づかいをしたくないから」が29.2%で最も多く、次いで「なんとなく気分が乗らないから」26.1%、「被災地のことや被災した人のことを考えると、自粛すべきだから」23.3%だった。

エリア別では、東北エリアで特に強いのは「先行きが不透明で今は無駄づかいをしたくないから」(42.0%)、「地震がまた起こるのではないか不安だから」(34.8%)、「必需品を優先したい」(33.3%)。関東甲信越では「電力の供給が不安定だから」(27.8%)が特徴的に高い。

自粛解除のきっかけは「原発問題収束」と「電力の安定供給」「東北での操業再開」。自粛ムードが長引く恐れがあるが、一方で「経済活性化のためにお金を使っていきたい」と思う人も多い

自粛ムードが一段落して、これまで通りの生活に戻ったと実感できるタイミングで最も多かったのは「原子力発電所事故や放射能問題が収束する」が60.9%、次いで「電力の供給が安定する」48.8%、「企業の東北地方にある工場が操業を開始する」37.4%だった。

しかしその一方では、「経済活性化のために経済的余裕があればお金を使っていきたいと思う」が46.1%に対して、そう思わないが11.1%ということも判明しており、原発問題が小康状態で推移すれば、早く自粛ムードがゆるむこともあり得るだろう。

震災後に顕著な、10の生活者意識

現在強まっているであろう意識として事前に検討した24の仮説を当調査で検証したところ、60%以上の支持を集めたものが10存在した。それらを震災後に顕著に強まっている「10の生活者意識」としてご紹介します。
生活者意識

今後の個人消費の展望

震災1ヵ月後の時点では先行きの不透明感から消費行動の自粛をしている人も多く、消費マインドは震災前と比べて低下したが、リーマンショック直後と比較するとまだ高い水準にある。

ただし、原発問題収束が自粛緩和のきっかけと考えられているので、現時点では年内いっぱい自粛ムードが継続して、実態経済への影響が今後顕著になり、さらなる消費マインドの下落を招く可能性も否定できない。

しかしその一方では、「経済活性化のために経済的余裕があればお金を使っていきたい」(そう思う:46.1%⇔そう思わない:11.1%)というデータを見る限り、過度の自粛を戒め無理にでもお金を使わなくてはという気持ちが表れているとも読み取れる。原発問題解消に向けた確実な歩みや企業活動の早期正常化が、自粛ムードを緩和し経済復活を導くうえで重要なポイントだと言えよう。

電通総研「震災一ヵ月後の生活者意識」調査概要

  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査地域:全国47都道府県
  • 調査対象:20-69歳男女個人 2000名 (国勢調査の性×年代別人口構成比に基づき割付)
  • 実施日程:2011年 4/11(月)~4/12(火)

関連レポート:「日本新生」を支える「意識・ライフスタイル・社会システム」の変化予測
電通総研ホームページ(http://www.dentsu.co.jp/di/index.html)に併せて掲載しております。