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広告界に新たな職種、「マンガデザイナー」

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「メディア環境、広告環境は複雑化している。生活者とのコミュニケーションに課題を抱える企業は多いが、この課題に日本の資産ともいえる『マンガ』が活用できる可能性を強く感じている」と話すのは、ターゲットメディアソリューション代表の吉良俊彦氏。

同氏は電通、雑誌局にて外資系ファッションブランドを中心に雑誌広告に携わるほか、数々のイベント・プロデュースを手掛けてきた。

電通退社後は、ターゲットメディアソリューションを設立。雑誌を中心とした、ターゲットメディアのプロデュースや企業のターゲットブランディングのコンサルティングを手掛けている。

これまでに『ターゲット・メディア主義』、『ターゲットメディア・トルネード』などの著書も出し、「ターゲットメディア」という言葉と概念を広めてきた吉良氏。そんな氏が次に提唱するのが、「マンガデザインソリューション」、そしてそのソリューションを創りだす「マンガデザイナー」だ。

人気のあるマンガは、これまでもコミュニケーションに活用したいと考える企業は多かった。しかし、著名な作品となれば権利管理も厳しく、コストもかかる。そこで吉良氏は、「漫画家」以外の新しいマンガの描き手、「マンガデザイナー」という職業、存在を生みだしていこうと考えた。そのきっかけは、氏が教授を務める大阪芸術大学での学生との出会いにある。

同大のキャラクター造形学科には、「漫画コース」もあり、そこでは未来の漫画家を目指す若者たちが、学んでいた。「マンガを描くには、ストーリーが作れ、絵が描け、さらにコピー(文章)も書けなければならない。複合的かつ非常に高い能力が必要とされる。そして、この力は企業のコミュニケーションに大いに活かせると考えた」と話す。そして同氏の考えに共鳴する学生たちを採用し、今年「マンガデザイナーズラボ」を立ち上げた。来春にかけて、さらに「マンガデザイナー」を採用の予定だ。

「これまでも、イラストレーターの絵にセリフを付けたマンガ風の広告はあった。しかし、そこにはマンガのようなストーリーがないので、どうしても言葉が多く説明的になりすぎるきらいがあった」と吉良氏。マンガデザインの持つ、コミュニケーション課題の解決力に大きな期待を寄せている。

すでに中国に進出する日本企業のキャンペーンなどで、実績をあげているという「マンガデザイン」。同氏はこれまでの漫画コンテンツの使いづらさを解決しようと、メディアごとに使用権はとらない方針。ワンコンテンツマルチユースを促進させる。「マンガは日本を代表する文化。マンガデザインが日本企業の海外進出において、大きな役割を担うと確信している」と吉良氏は話している。

吉良俊彦氏(元電通、ターゲットメディアソリューション代表)
電通時代には主に雑誌局で活躍。採用面接の経験もある。現在は「宣伝会議 広告界就職講座」の講師を務める。