課題整理のプロセス
ようやく本題である課題抽出のコツです。
課題整理のフレームワークについては、すでに第1回「企画のレシピ」で定義しました(⇒上図参照)。また、課題整理に必要な諸元情報も、「現在の仕組」についてはオリエン準備の段階で、「問題点≒裏返しで目的」についてもオリエンの場で、それぞれ入手済みという前提で進めます。
“課題”とは、悪い結果を生んだ、悪い仕組の中の“原因”に対して働きかけるアプローチです。従って、課題を抽出するためには対になる原因を、また、原因を探索するためには元になる問題(=悪い結果)を、それぞれ明らかにする必要があります。つまり、問題発生のプロセスを、① 問題⇒ ② 原因 ⇒ ③ 課題、という順番に逆にさかのぼって、課題を抽出していきます。
①問題の整理
まずは、起点となる問題(=結果)の整理についてです。ポイントは、(-)要因の結果だけに限定せず、(+)要因にも目を向ける、ということです。この段階で、問題の見方を限定してしまうと、問題解決のオプションも限定されてしまうので、オリエンで知り得た“問題(=結果)”を(+)面と(-)面に分けて、整理してみましょう(いわゆる「課題抽出」⇒「問題解決」という思考フローでは、文字面的にも(-)面だけに注力しがちです。特に“よく知っていること”については、その傾向が強いので、(+)面にも目を配ることを忘れないように気をつけましょう)
②原因の探索
整理した“問題(=結果)”を元に、“原因”を探索します。オリエン準備で知り得た「現在の仕組」の中に原因が潜んでいるはずです。ここでも(-)面だけに限定せず、(+)面にも目を向けることがポイントです。「(−)結果の原因」、「(+)結果の原因」をそれぞれ探ります。
③課題の抽出・整理
探索した各原因と対になる“課題”を抽出します。課題は、最終的な方針を決めるためのものなので、ここでは俯瞰的に整理します。書式は特に問いません。ちなみに僕は、SWOTフォーマットをカスタマイズして活用しています。下の図を参照して下さい。
抽出した課題を(A)安定、(B)拡張、(C)改善、(D)改良、4つのグループに分けて整理し、企画の目的、予算などと照らし合わせながら、最終的な方針を検討します。方針のオプションは、
① 強みを活かして目的を達成する
② 弱みを克服することで目的を達成する
③ 両方の組み合わせ
の基本3通りです。
尚、(D)改良については、広告・プロモーションのスコープを超えることになるので、案件によって、課題として残すか否か判断してください(クライアントとの関係性にもよりますが、経験上スコープを超えた提案は正論であっても、ほとんどのケースで歓迎されないので、要注意です)
以上で課題整理のプロセスは、ひとまず完了です。
今回は非常に当たり前のことばかりを紹介しましたが、“一般的に普及しているコト”や“既に知っているコト”でも、その定義を再整理し、使い方を自分なりに工夫を凝らすことによって、ようやく自分の手に馴染む”使える道具”になってくると思います。もし既存の道具を上手く使いこなせていないと思っている方がいたら、今回の”コツ”をトライしてみてください。お一人でも「なるほど…」と思ってくれたら、幸いです。
次回は、「コンセプトメイク」についてです。
上塘 潤一郎「企画を通すコツ~オリエンからプレゼンまでの時間の使い方」バックナンバー
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